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2013年度「がん情報の不足感」実態調査

 我が国では、がん対策推進基本計画が「国民の情報不足感の解消」を最重要課題の一つとするなど、がんに関する情報が不足していると言われています。がんは私たちの多くが患者当事者ないし家族として関わる可能性が高い深刻な病気の一つですが、告知の是非に始まって、その治療法や終末期のケアに至るまで、その対処法はますます多様化しています。しかし、そこには、いわゆる「情報の非対称性」以上の問題があり、すなわち医療者も情報不足に陥っている可能性があります。まして私たち患者や家族が、ただでさえ命のリスクに大きな心理負担を負っているなかで、こうした多様な選択肢を納得する形で乗り越えていくためには、充分な情報が必須であるといえます。
 この課題を解決するため、2010年に基本的な実態把握を目的に第1回調査を実施、2011年は「治療法についての情報不足感」「患者会との接触」にフォーカスした第2回調査、2012年には「医師からの治療法の説明」実態にフォーカスして第3回調査を実施しました。
 そして4回目となる2013年の調査では、「がん患者・家族の情報発信の実態と、その意義や課題を浮き彫りにする」ことを目的に調査を行いました。インターネットが出現して以来、一般個人が情報発信者となり得る機会は急速に広まっていることもあり、私たち国民が主体的に情報不足解消へ取り組んでいくことは、「国民のがん情報不足感」を解消する鍵となり得るといっても過言ではありません。以下にその結果概要をご紹介します。

2013年度版 調査結果の概要

実施概要

  1. 調査名称:がん情報の入手・利用に関する実態調査
  2. 調査対象:がん調査の呼びかけに応えたQLife会員ならびにその他の一般生活者
  3. 有効回答数:2,754人(がん患者・家族以外は集計対象外とした)
  4. 調査方法:インターネット調査
  5. 調査時期:2013/7/15 ~2013/7/31

※本調査は、厚生労働科学研究班『国民のがん情報不足感の解消に向けた「患者視点情報」のデータベース構築とその活用・影響に関する研究』の一環として行われ、当班の代表者である中山健夫・京都大学大学院教授に監修を受けたものである。また調査実施にあたり、京都大学医の倫理委員会の審査承認も得た。(承認番号 E1253)

調査結果の概要

  • がん患者・家族のうち自ら情報発信した人は、その情報発信によって高い満足度を得ている。「他人・社会のため」を目的に発信するケースが多いためか、ほとんどの発信者が他人から何らかの反響を得ており、それが一定期間の交流にまで発展することも珍しくない。そのため「自分の情報もかえって充実」した人も多い。
  • ただし問題は、情報発信するのが「9人に1人」とまだまだ少数派であり、その2倍の数で「情報発信しようとしたが、実際にはしなかった」人が存在することだ。発信の障害となったのは「知られたくない」といった本人の内的事由ではなく「方法・場所・きっかけがない」という外的事由が多いため、改善余地がある。
  • 「情報不足感」と「情報発信状況」とは相関がある。情報が充足している人ほど情報を発信し(または、発信する人ほど、充足感を持つ)、情報不足感がある人ほど情報発信したくてもできない(または、発信できない人ほど、不足感を持つ)傾向がある。
  • なお、「特定の治療法の効果や副作用」については、それが実体験の内容であっても、情報発信者の半数しか語ることがない。治療法の発信には、一般的な情報とは違う配慮をすべきとする人が6割など、慎重な姿勢がうかがえる。

※本調査で用いた「情報発信」の定義
「がんに関するあなたの経験・知識・考えなど」を、【複数の人に向けて】、発信すること
(例:セミナーなど人前で、何かの会員紙上で、ブログで、掲示板で)



2012年度版 調査結果の概要

  1. 「医師からの治療法の説明」度合いと情報不足感とは相関あり
    • 「他の選択肢の説明」「選択根拠」「デメリット」の説明が不充分だと、患者・家族の納得感が下がり、あとあとまで「情報不足感」を訴える
    • 医師説明の前後に治療法を自分で調べた患者・家族は6割で、説明後よりも「前」に調べる人の方が、納得感が高い。
    • 調べ方を医師からアドバイスされたのは3割
  2. 治療法説明の最大公約数像はあるが、「厳しい時」の現場には不適合
    • 「患者視点で、デメリット面も丁寧に、納得感を見ながら」が良い説明の最大公約数
    • ただし「厳しい見通しの告知」理想像は多様で、かつ人により真逆ケースもあり、多忙な医師が実践するには非現実的なほど

2011年度版 調査結果の概要

  1. 約半数が「がんに関する情報が不足」と感じている。最も欲しい情報は「治療」に関するもの
  2. 「治療法の選択」において、本人と家族とでは、納得度に大きな違いがある。治療選択における重要なキーワードは「信頼」と「説明」
  3. より幅広い情報チャネルとより個別性の高い情報を求めているが「先進医療」「標準治療/標準療法」についての認知・理解は乏しい
  4. 大多数が患者会に対して具体的イメージを持ち合わせていない可能性がある。参加者は「メンタル上の効果」を求めている一方、非参加者はカルチャーが変われば参加する可能性を示唆している

2010年度版 調査結果の概要

  1. がん情報の“物理的”な充足/不足状況は、曖昧・非論理的で、実態は混とんとしている
  2. 情報の“物理的”な不足が生じる原因は、特定の因子ではない (「情報が非存在」「未充実(質/量不足)」「未整理(散在)」「アクセシビリティ」「当人事情 (面倒、苦痛等)」の5因子がほぼ同等に影響しており、特定のボトルネックはない)
  3. 「患者視点の情報とは何か」を“物理的”に定義することは困難で、多分に感情的なものである可能性が高い