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ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)(東京大学医学部附属病院藤城光弘先生) 1/3ページ

内視鏡治療|更新日:2013/09/10[火]

粘膜に広がったがんを一括で取る最新治療

 高周波ナイフを使って、がんを切り剥(は)がしていく治療です。
 粘膜内がんなどの早期がんであれば、大きさに関係なく一括切除できます。

2012年4月に健康保険が認められた

 ポリペクトミーやEMR(内視鏡的粘膜切除術)に続く、第三の内視鏡治療として、今、期待されているのが、「ESD(内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術)」です。内視鏡に取りつけられた高周波ナイフでがんの周囲の粘膜を切って、粘膜の下部にある粘膜下層を薄く剥いでいくことで、がんを切除します。2009年から先進医療として行われてきた治療で、12年の4月に健康保険適用になりました。

●ESDの適応
・病変の最大径2cm以上でスネアによる一括切除(EMR)が困難
・リンパ節転移の可能性がほぼない粘膜内がん、粘膜下層への軽度浸潤(しんじゅん)がん
・粘膜下層に繊維(せんい)化を伴う病変
・潰瘍(かいよう)性大腸炎などの慢性的炎症がある病変
・前治療の取り残し、瘢痕(はんこん)形成を伴う病変や大腸ヒダにまたがる病変など

大きさや形に制限なくがんを切除できる

 ESDがポリペクトミーやEMRといった従来の内視鏡治療と大きく違うのは、粘膜にとどまっているがんであれば大きさや形に関係なく、切除が可能であるという点です。
 従来の内視鏡治療は、がんの根元に直径2~3cmのスネアという金属製の輪を引っかけて切除します。そのため、ポリペクトミーやEMRの治療対象は、「最大径2cm未満(『大腸癌(がん)治療ガイドライン2010年版』)」を原則としています。
 これに対し、高周波ナイフを用いるESDは、内視鏡医が切る範囲や形を思うままに決めることができるので、手術を選択せざるをえなかった2cmより大きいがんの患者さんでも、おなかを切らずに治療することができます。

リンパ節転移のない2cm以上の病変がESDの対象

 当施設でのESDの対象はガイドラインの「大腸ESDの適応基準」をもとに、次のような場合と考えています。
(1)リンパ節転移の可能性がほとんどない粘膜内がんや、粘膜下層への軽度浸潤(しんじゅん)がん
(2)病変の大きさが2cm以上でスネアによる一括切除(EMR)が難しい
(3)粘膜下層に線維(せんい)化を伴う粘膜内の病変
(4)潰瘍(かいよう)性大腸炎など、慢性的な炎症がある病変
(5)内視鏡治療で取り残したがんの再治療や、大腸ヒダにまたがる病変

 以上のように、病変の大きさだけでなく、なんらかの理由でポリペクトミーやEMRができなかった病変の治療や、取り残したがんの再治療などが対象となります。あくまでも、ポリペクトミーやEMRが対象とならない病変に限られます。
 当施設のESDは早期胃がんに始まり、2000年ごろから早期食道がん、大腸がんに導入しています。大腸がんでは09年からは先進医療として実施してきました。11年3月までのおよそ10年間で約400人の患者さんが大腸ESDを受けています。これは大腸がんの内視鏡治療全体の2~5%に当たります。積極的にESDを導入し、実施してきたわれわれのような施設でも、対象となる患者さんはその程度にとどまっています。
 しかし、限られた数であっても患者さん一人ひとりにしてみれば、手術しか選択肢がなかったような早期がんでも、内視鏡治療によって根治する可能性が出てきたことは有意義といえます。

技術的に難易度が高く経験のある医療機関で行うべき

大腸ESD実施件数の推移

 ESDは、先進的で画期的な治療であるがゆえに、非常に高い技術が求められます。内視鏡治療を専門的に行っている内視鏡医であれば、一般の医師には難しいとされる内視鏡の挿入や、挿入後の腸内での操作もそれほど苦にはなりません。しかし、ESDは、そうした内視鏡医にとっても、難易度の高い治療です。
 大腸の壁は胃の半分ほどの厚さ(約2~3mm)しかありません。そうした薄い腸壁の、さらに一部である粘膜下層を、高周波ナイフで薄く剥いでいく操作は、慎重で確実な技術が要求されます。ささいな操作ミスで出血や穿孔(せんこう)(孔(あな)があくこと)などの合併症(偶発症)を招く危険性があるので、集中力を持続させなければなりません。
 12年4月から保険診療となりましたが、一般的な治療法というよりは、経験の豊富な医師、医療機関で行われるべき治療法と考えています。

(名医が語る最新・最良の治療 大腸がん 2012年6月26日初版発行)

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