今月のピックアップ
GIST(消化管間質腫瘍)とは
GIST(消化管間質腫瘍)とは
胃などに出来るがんですが、通常の胃がんとは発生原因などが異なるため、検査や治療方法にも違いがあります。
もっと知ってほしい乳がんの再発・転移のこと
もっと知ってほしい乳がんの再発・転移のこと
乳がんの治療期間は長く、経験者は再発・転移に不安を抱いています。再発・転移をテーマにした正しい知識と情報を学びましょう。
UDXオープンカレッジ もっと知ってほしい「小児がん」のこと2011 in 東京
UDXオープンカレッジ もっと知ってほしい「小児がん」のこと2011 in 東京
小児がんは、治療方法の進歩によって治療成績は目覚ましく改善されてきています。日本の小児がん医療をめぐる現状と課題を知る入門編としてご覧ください。
患者の悩み・家族の悩み
患者の悩み・家族の悩み
実際のがん患者さんやご家族は、どんな悩みを、どう和らげているのでしょうか。「医療者との関係」はどのようにしているのでしょうか。貴重な本音を教えて頂きました。

非小細胞肺がん 分子標的薬2剤が直接対決

ニュース・トピックス|更新日:2016/05/12[木]

Lancet Oncologyに掲載されたアファチニブの治療効果

 近年、がんでは、薬物による治療が急速な進歩を遂げています。従来のがんの薬物治療では、がん細胞そのものを殺傷する抗がん剤が主流でしたが、現在ではがん細胞の増殖に必要な分子の働きを抑制する「分子標的治療薬」が登場し、一部のがんでは分子標的治療薬で病状の進行が抑えられ、生存期間が延長している例も存在します。

 その代表例が肺がんです。肺がんは早期なら手術でほぼ完治もあり得ますが、再発や他の臓器への転移が起きた場合は、従来は抗がん剤や放射線による治療が行われ、それも限られた効果しか望めませんでした。しかし、肺がんに対する分子標的治療薬の登場で最近は、進行がんでも治療を行いながら、日常生活を送ることができる事例も増えています。

 この肺がん分野で、昨年、分子標的治療薬のアファチニブ(商品名:ジオトリフ)という薬剤が従来の分子標的治療薬よりも病状の進行を抑えることができるとの研究発表が、世界的な医学誌「Lancet Oncology」に掲載されました。

どの分子標的薬を使うべきか、指標となる臨床試験の結果

 手術不能または再発の非小細胞肺がんに対する従来の薬物治療は、白金製剤とよばれる抗がん剤が中心でした。しかし、2000年代以降のがん遺伝子に関する新たな知見と分子標的治療薬の登場により、治療方針が大きく変わりつつあります。がんの増殖に関係する上皮成長因子受容体(EGFR)の遺伝子変異や、がん細胞を増殖させるALK融合遺伝子の発見などにより、患者さんのがんの遺伝子変異に対応した治療薬が開発されてきました。非小細胞肺がんのEGFR変異陽性に対する治療薬としては、2002年にゲフェチニブ(商品名:イレッサ)、2007年にエルロチニブ(商品名:タルセバ)が発売。この2つに加え、2014年に7年ぶりの新薬であるアファチニブが登場したことで、治療選択肢が増え、患者さんにとって大きな福音となりました。使える薬の選択肢が増えた一方で、医師、患者さんともに、どの薬を使うのが一番いいのかはわかりませんでした。そうした疑問に対して、アファチニブとゲフェチニブとの比較試験「LUX-Lung7(LL7)」が世界規模で行われました。

 LL7はカナダや欧州、オーストラリア、アジア(日本は未参加)の13か国の64施設で行われた臨床試験で、病期がIIIb期あるいはIV期、再発または転移に対して未治療、EGFR変異陽性の非小細胞肺がんという条件の元、319例が登録されました。これらの症例をアファチニブ群160例(1日40mg)とゲフェチニブ群159例(1日250mg)の2群に分けて効果などを比較しました。その結果、アファチニブはゲフェチニブに比べ、肺がんの進行リスクが27%低下し、治療成功期間も延長、治療失敗のリスクは27%低下しました。

 また、LL7での重篤な有害事象発生率は、アファチニブ群が44.4%、ゲフェチニブ群が37.1%でした。有害事象は5段階で評価され、グレード1が軽度、グレード5が死亡を意味します。すぐに命にかかわるわけではありませんが、治療を続けることが問題となり、入院や入院期間の延長が必要となるのがグレード3以上です。このグレード3以上の有害事象について、アファチニブ群で最も多かったのが下痢の13%、次いで発疹などの皮膚症状が9%。一方ゲフェチニブ群では肝臓の組織異常を示す検査値の上昇が8%、発疹などの皮膚症状が3%でした。

 現在LL7の発表は、治療後がんが進行せず安定した期間と治療が成功していた期間に関するものですが、3つ目の評価項目である未発表の全生存期間の解析結果が待たれます。(村上和巳)

みんなの感想:この記事はあなたの健康に役立ちましたか?

とても参考になった まあまあ参考になった 普通だった 参考にならなかった
86% 14% 0% 0%
一言感想

この記事を読んだ人が興味のある記事はこちら


記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。