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慢性骨髄性白血病の新たなマイルストーン「無治療寛解維持」という次なるステージの可能性

ニュース・トピックス|更新日:2016/06/13[月]

CML無治療寛解維持をテーマにメディア勉強会を開催


東京大学医科学研究所先端医療研究センターセンター長 分子療法分野分野長の東條有伸先生(右)と、ノバルティス ファーマのメディカルドクター髙徳正昭さん(左)

 慢性骨髄性白血病(CML)は、かつては骨髄移植が唯一の効果的な治療で生存率も高くありませんでした。2000年代に画期的な分子標的薬が登場し、およそ90%の患者さんが寛解状態を維持し日常生活が送れるようになりました。しかし、服薬の継続が寛解維持の条件となっており、CML患者さんにとって負担は小さくありません。そうした中、近年の研究で服薬を中断しても長期にわたり再発しない「無治療寛解維持(TFR)」の可能性が示唆されています。

 先ごろ開催された2016年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)でも、無治療寛解維持に関する最新の研究結果が報告されました。これを受け、ノバルティス ファーマ株式会社は、6月8日に「慢性骨髄性白血病(CML)無治療寛解維持メディア勉強会」を開催。ノバルティス ファーマのメディカルドクターによる無治療寛解維持の可能性と注意点に関する説明と、東京大学医科学研究所先端医療研究センターセンター長で分子療法分野分野長の東條有伸先生による解説が行われました。

CMLの原因蛋白を標的とした分子標的薬

 白血病は、血液細胞の元となる造血幹細胞ががん化し、異常な血液細胞が無秩序に作られ増殖する疾患です。骨髄をがん化した細胞が占拠してしまうため、貧血や免疫力の低下、出血などの症状があらわれます。白血病は、がん化した細胞のタイプで骨髄性とリンパ性に分けられ、病気の進行パターンや症状から急性と慢性に分けられます。このうち赤血球や血小板、好中球(白血球の1つ)などの元になる骨髄系幹細胞ががん化し、比較的ゆっくりと進行するのが、CMLです。

 46本で構成される人の染色体の9番目と22番目が切れ、入れ替わってつながってできるのが、CMLのほとんどの原因であるフィラデルフィア染色体で、BCR-ABLという新しい遺伝子ができます。この遺伝子によりBCR-ABL蛋白が作られ、そこにエネルギー物質(ATP)が結合して活性化すると、白血病の元になる細胞が無限に増殖をし始めます。BCR-ABL蛋白とATPの結合を阻害することで、がん細胞の増殖を抑える薬として作られたのが2001年に発売された「イマチニブ」(商品名:グリベック)です。その後、日本では2009年に第2世代として、イマチニブ抵抗性の2次治療薬として発売されたのが、「ニロチニブ」(商品名:タシグナ)や「ダサチニブ」(商品名:スプリセル)です。

ASCO 2016 無治療寛解維持の期待が高まる2つの臨床試験報告


白血病細胞の塊とした模型

 慢性期のCML治療は、分子標的薬を使い白血病細胞の数を測定し効果を見ながら治療します。効果があれば「継続」、効果はあるが期待するほどでもなければ「頻回なモニタリング」をし、効果がなければ、「薬の変更」をします。CMLと診断されたときの白血病細胞の数は、約1兆個程度で、塊にすると人の頭ほどの大きさです。白血病細胞数が、10分の1(100億個)になると、白血球数が正常値になり臨床症状が消えます。さらに白血病細胞数が100分1(10億個)になるとCMLの原因となるフィラデルフィア染色体が消失し、さらに減ると、BCR-ABL遺伝子が少なくなります。しかし、この段階にいたっても治療を継続しなければ100%再発します。

 CML患者さんにとって長期間の服薬は、経済的負担、副作用による身体的負担にもつながります。そこで白血病細胞の検出限界(MR4.5)まで減らせれば、治療を継続しなくても寛解が維持できるのはないかという仮説の元に「ENESTfreedom試験」と「ENESTop試験」という2つの臨床試験が行われ、2016年のASCOでその結果が報告されました。

 ENESTfreedom試験では、1次治療でニロチニブを使用し、治療中止の基準を満たした患者さんの51.6%が治療中止後48週にわたり、寛解を維持できました。ENESTop試験は、イマチニブからニロチニブに治療を切り替えた患者さんを対象としたもので、治療中止後の寛解維持率は57.9%という結果でした。この結果は、TFRの可能性を前向きに検討する大切なデータです。安全性に関しては、すでに報告されている有害事象以外はみとめられていません。TFR期では有害事象や検査値異常の頻度が減少しましたが、TFR期には筋骨格筋痛が多く報告されています。

 東條有伸先生は「TFRという可能性を患者さんが知れば、安心します。しかし、その一方で服薬の必要性やCMLという病気の理解を忘れがちになります。CMLはきちんとコントロールする必要があり、そのために服薬し続ける必要があることの意味を理解してもらうための説明が大切です」とTFRの可能性に対する注意点を話されました。

 白血病は、その性質上治癒という言葉を使うのが難しい中、患者さん自身が“治った”を実感できる可能性が見えてきた第一歩と期待されます。(QLifeがん編集部)

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