腎盂造影検査執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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腎臓や膀胱などに異常がないかを調べる検査です。検査日の朝は絶食で、検査前にはなるべく排便します。検査後は水分を多めに摂取します。

医師が使う呼び方:「アイブイピー」=intravenous pyelography(排泄性腎盂造影)の略IVPから。また「ディーアイピー」=drip infusion pyelography(DIP、点滴静注腎盂造影) とも

血尿の原因解明に行う検査

 血尿は、腎(じん)臓、尿管、尿道の病気で認められ、無症状の場合から激しい痛みや発熱を伴うものまで、症状はさまざまです。血尿の原因をはっきりさせるために行う検査のひとつが、この腎盂(じんう)造影です。

 この検査では、腎臓の結石・腫瘍・結核や尿管結石、膀胱(ぼうこう)の腫瘍や結石、遊走腎、水腎症などが診断されます。

結石は黒く小さく抜けた像、ときに白い像にみえる

 造影剤は、X線を透過させないため、腎盂や尿管は形どおりに白く写り、石があると造影剤をはじいて黒く小さく抜けた像にみえます。石にカルシウムが付着すると、白くみえます。

 膀胱腫瘍では、腫瘍状の欠損(黒い塊)に写ります。

排泄性造影は約30分、逆行性造影では約60分で終了

 腎盂造影検査には、造影剤を注射する〈排泄性造影〉と、尿道から細い管(カテーテル)を入れて造影剤を注入する〈逆行性造影〉とがありますが、前者が一般的です。

 排泄性腎盂造影検査は、検査着に着替え、検査台にあお向けに寝ます。まず、腎臓・尿管の単純撮影(造影剤を使わない撮影)を行い、次に造影剤100mlを1~2分で注射し、注射終了後5・10・15分に腎臓・尿管を撮影します。その後、排尿して立位で膀胱を撮影、約30分で終了です。

 逆行性腎盂造影検査は、検査着に着替え、まず鎮痛剤を筋肉注射し、検査台にあお向けに寝ます。麻酔薬の入ったゼリーを塗った膀胱鏡(直径3~5mm)を、尿道口から膀胱へと入れ(少し痛みがある)、次に膀胱鏡の中を通したカテーテルを尿管口から目的の尿道や腎盂まで挿入し、造影剤を注入して撮影。約60分で終了です。この検査では検査後約1時間、安静にします。

検査前にはなるべく排便を

 前日の夕食は普通ですが、当日の朝は絶食です。糖尿病薬以外の常用薬は飲んでも結構です。検査前にはなるべく排便します。腸のガス像と重なり、読影しにくくなることがあるためです。

 検査後は、ヨード剤を排出するために水分を多めにとります。〈逆行性腎盂造影〉では、少量の血尿が半日くらい続きます。たくさん出るようなら、病院に連絡してください。

 ヨード剤にアレルギーのある人や妊娠中あるいはその可能性のある人は〈造影撮影〉は行いません。医師にその旨を告げてください。

 喘息(ぜんそく)やそばアレルギーのある人、腎(じん)機能の悪い人は、〈造影撮影〉には注意が必要です。事前に申し出てください。

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疑われるおもな病気の追加検査は

  • 腎臓結石

    検尿(潜血反応、沈渣)、腹部超音波など
  • 尿管結石

    検尿(潜血反応、沈渣)、腹部超音波など
  • 膀胱腫瘍

    膀胱鏡(生検)、腹部CT、腹部超音波、膀胱尿道造影など
出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版