レニン執筆者:昭和大学病院医学部医学教育推進室教授 高木 康/昭和大学横浜市北部病院病院長 田口 進

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医師が使う呼び方:「レニン」

レニンの基準値

0.5~3.0ng/ml/時(早朝安静空腹臥位)

高血圧症や浮腫性疾患などをチェック

 図に示すように、レニンは腎臓から分泌されるホルモンで、血圧を上昇させる役割があります。

 また、肝臓から分泌されるアンギオテンシノゲンという糖蛋白をアンギオテンシンに分解して血圧を上昇させ、さらには、このアンギオテンシンが副腎からのアルドステロンというホルモンの分泌を促進して、血圧を上昇させるように働きます。

 すなわちレニンは、レニン自体のほかにアンギオテンシン-アルドステロンに作用することで血圧を上昇させるのです。

 したがって高血圧症や浮腫(ふしゅ)性疾患においては、このレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系を調べます。

検査値からの対策

 異常値がみられたら、薬物を服用している場合は、投薬を中止して2週間以上たってから再検査をします。入院患者では、同じ日に時間をかえて、3回以上採血して日内変動を調べます。

 腎動脈の狭窄(きょうさく)などが原因で、上記のレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の分泌が過剰になっておこる腎血管性高血圧では、外科的に狭くなった動脈を広げて、腎臓への血流を多くする腎動脈形成術を行います。

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疑われるおもな病気などは

  • 高値

    アルドステロンが低値→アジソン病、21-水酸化酵素欠損症など
  • アルドステロンが高値→腎血管性高血圧、レニン産生腫瘍、悪性高血圧、褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症、うっ血性心不全、肝硬変など

  • 低値

    アルドステロンが低値→循環血漿量の増大、甲状腺機能低下症など
  • アルドステロンが高値→原発性アルドステロン症、原発性副腎過形成など

出典:四訂版 病院で受ける検査がわかる本 2014年7月更新版