出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
遺伝性球状赤血球症
いでんせいきゅうじょうせっけっきゅうしょう
もしかして... 遺伝性球状赤血球症
遺伝性球状赤血球症とは?
どんな病気か
先天性溶血性貧血で、日本の先天性溶血性貧血のうちでは最もよくみられるものです。
原因は何か
赤血球膜の蛋白に異常があります。そのために、正常の赤血球のように中央がくぼんだ穴のあいていないドーナツ状の形を維持できずに、球状となってしまいます。基本的には常染色体優性遺伝の形式をとります。
検査と診断
溶血の亢進と、代償性の赤血球系造血亢進の2つについて検査を進めます。溶血があれば、血清中の間接型ビリルビンが上昇し、尿中ウロビリノーゲンが高値になります。血清ハプトグロビンは軽い溶血があるだけで低下します。アイソトープで目印をつけた赤血球を使用して、赤血球寿命の短縮が確かめられれば決定的です。
造血亢進は、骨髄穿刺(針を刺して採取する)によって確認されます。末梢血では若い赤血球(網赤血球)の増加がみられます。
溶血性疾患のうち先天性球状赤血球であることを診断するには、末梢血の赤血球像が必須です。顕微鏡で球状赤血球をみれば診断がつきます。補助的には食塩水浸透圧抵抗試験が有用です。
治療の方法
新生児黄疸がまず問題となります。表13に大まかな方針を示します。交換輸血か光線療法(中波長の紫外線を照射する)を行います。
次に脾臓摘出ですが、これは学齢期に入るまで原則としては行いません。
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