出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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ランゲルハンス細胞組織球症
らんげるはんすさいぼうそしききゅうしょう

もしかして... 病的骨折  尿崩症

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ランゲルハンス細胞組織球症とは?

どんな病気か

 皮膚から侵入してきた抗原は表皮にあるランゲルハンス細胞に取り込まれ、リンパ節へと達してTリンパ球に抗原を提示します。このようなはたらきをする樹状細胞の一種であるランゲルハンス細胞と同様な形質をもった細胞が、病変部位で異常に増殖する疾患です。ヒスチオサイトーシス(細網内皮症)とも呼ばれます。

原因は何か

 従来は何らかの免疫異常によるランゲルハンス細胞の二次性増殖と考えられてきましたが、最近は腫瘍性の疾患であることを示唆する報告がされています。しかし、現在でも原因不明の疾患です。

症状の現れ方

 0~3歳くらいの乳幼児に好発します。骨の病変が約80%に認められ、骨痛と周囲の腫脹、病的骨折を起こすこともありますが、無症状でX線検査を行ったときに初めて病変に気づくこともあります。脂漏性湿疹に似た発疹や出血性小丘疹などの皮膚症状、中枢神経に浸潤して尿崩症を合併することもあります。多臓器浸潤型では発熱、肝脾腫、リンパ節の腫脹などの全身症状も示します。

検査と診断

 生検(組織をとって調べる)が診断を確定するために必須です。免疫染色でのS-100蛋白とCD1aが陽性であること、電子顕微鏡でバーベック顆粒が陽性であることが診断の決め手になります。全身の骨のX線検査は有用であり、小児では頭蓋骨の打ち抜き像(多発するコイン状の透亮像)は本疾患を疑わせる重要な所見です。

治療の方法

 一般的に、単独病変に対しては注意深く経過観察をするか局所療法が行われます。多発性の病変に対しては副腎皮質ステロイド薬、ビンクリスチン、メトトレキサートなどを併用した化学療法が行われます。

 増悪と改善を繰り返し慢性に経過しながらも治る場合が多いのですが、2歳以下の発症で多発性、かつ骨髄・肺・肝・脾に浸潤が認められる、初期治療に反応が悪い例では予後不良と考えられ、より強力な治療が必要になります。

(執筆者:青森県立中央病院小児科副部長 高橋 良博)

ランゲルハンス細胞組織球症に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、ランゲルハンス細胞組織球症に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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