出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
子宮後転症(子宮後傾後屈症)
しきゅうこうてんしょう(しきゅうこうけいこうくつしょう)
子宮後転症(子宮後傾後屈症)とは?
どんな病気か
子宮は通常、前傾前屈の位置をとっていますが、後傾後屈の位置をとる状態を子宮後転症(子宮後傾後屈症)と呼びます(図4)。正常女性の約20%に認められるといわれています。
とくに障害を伴わない場合は病気とはみなしません。子宮後転症はかなり以前には病的と考えられ、手術が行われていた時代もありましたが、現在では治療の対象とは考えられていません。
原因は何か
大部分は可動性であり、病気ではありません。
骨盤内の炎症や子宮内膜症などが原因で、子宮と直腸あるいは骨盤腹膜と癒着し、非可動性の子宮後転症になっていることもあります。
この場合には、原因疾患による症状が現れることはありますが、子宮後転症そのものによる特有な症状というものはありません。
症状の現れ方
子宮後転症だけに特有な症状はありません。
検査と診断
内診や超音波検査により容易に診断が可能です。
治療の方法
現在では子宮後転症そのものは異常とは考えられていないので、治療の対象にはなりません。
病気に気づいたらどうする
子宮後転症が癒着に起因するものであれば、原因疾患が治療の対象になるかどうかを調べるため、検査を受けることが望ましいと考えられます。