出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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無月経
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無月経とは?

どんな病気か

 性成熟期を迎えた女性で、月経が来ない状態を無月経といいます。これには、生まれてから一度も月経のない原発性無月経と、一度は月経が来たものの無月経の状態に陥った続発性無月経とがあり、原因は異なります。

 両者の定義は、原発性無月経は満18歳を迎えても初経が来ない状態、続発性無月経はそれまであった月経が3カ月以上停止している状態をさします。続発性無月経は、病的なもの以外にも妊娠、授乳、閉経などの生理的な変化による場合も含んでおり、注意が必要です。

原因は何か

 原発性無月経と続発性無月経の原因には、類似した状態によるものもありますが、両者でまったく異なるものもあります。これらを大きく分類すると表6表6 無月経の原因のようになります。

表6 無月経の原因

症状の現れ方

●原発性無月経

 月経が来ないという症状のほか、原因により特徴的な症状が現れます。染色体異常症や卵巣形成障害が原因の場合は、乳房の発育、恥毛・腋毛の発毛など思春期に起こる二次性徴の出現がみられないことが特徴的です。

 子宮や腟の欠損によるものの場合は、卵巣や脳下垂体機能は正常のことが多く、ホルモン分泌は正常で二次性徴も認められます。腟中隔腟欠損など月経血流出路の異常の場合は、月経同様に周期的に起こる下腹部痛がみられます。

 明白な原因がない、いわゆるただ初経が遅れているだけということも多いのですが、この場合、ほかの二次性徴の出現も遅れていることが多いようです。

●続発性無月経

 月経停止以外に症状のないことが多いのですが、急激な体重減少(体重減少性無月経)、強い精神的ストレス(心因性無月経)など、きっかけとなっている変化がみられることがあります。

 高プロラクチン血症では乳汁の漏出がみられます。脳下垂体腫瘍が原因で高プロラクチン血症となっている場合は、頭痛、視野狭窄などの症状が現れることがあります。

検査と診断

 無月経の原因がどこにあるのかをみきわめることが検査の目的です。そのために血液検査によるホルモン検査、ホルモン負荷試験などを行い、原因があるのが間脳の視床下部か、脳下垂体か、卵巣か、子宮かを診断します。

 とくに原発性無月経の場合、子宮や腟の存在の有無、二次性徴発現の有無、染色体検査による染色体異常の有無についての検査も必要です。妊娠などの生理的無月経の可能性は、続発性無月経の場合にとくに十分考慮しなければいけませんが、原発性無月経でも妊娠の可能性を完全に否定することはできません。

治療の方法

 治療は、原因によって異なるばかりでなく、それぞれの患者さんの目標とする到達点によって異なります。

 すなわち、月経を起こすことを目標とするのか、さらに進んで妊娠の成立を目標とした治療を望むのかという点によって異なるわけです。ただし、原因によっては妊娠の成立が極めて難しい、または不可能な場合もあります。

 月経を起こす治療には女性ホルモン製剤、妊娠成立には排卵誘発剤の使用が基本です。このほか、漢方薬、プロラクチン降下薬、手術、体重調節、カウンセリングなどを、原因や症状に応じて適宜組み合わせて治療します。

病気に気づいたらどうする

 まず、妊娠などの生理的無月経でないことを確認します。いつから無月経になっているか、記録を確かめます。無月経の期間がそれほど長くない場合は、基礎体温の計測を数日から数週間にわたって行い、病院受診時にグラフに記載したものを持参します。そのほか、体重の変化などにも注意したうえで受診します。

無月経と関連する症状・病気

(執筆者:東京大学医学部附属病院産婦人科講師 久具 宏司)

無月経症に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、無月経症に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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