出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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回旋異常
かいせんいじょう

もしかして... 反屈位  微弱陣痛  過強陣痛

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回旋異常とは?

どんな病気か

 分娩の経過とともに、胎児は産道をとおりやすいように少しずつ体の向きを変えながら、骨盤内に進入していきます。これを回旋と呼び、内診によって評価されます。反屈位、低在横低位、前方前頭位など回旋の異常のために分娩の順調な進行が妨げられる場合を総称して回旋異常と呼びます。以下に正常な回旋とその異常について説明します。

①第一回旋(図17図17 第一回旋):頭位の胎児は骨盤入口部であごを引いて胸につけた屈位をとる。この胎勢が産道に入る姿勢としては最も児頭が細くなって産道をとおりやすくなる。胎児が逆にあごをあげた姿勢をとる場合、反屈位と呼ぶ。

図17 第一回旋

②第二回旋(図18図18 第二・第三回旋):児頭は横向きで産道に入り、下降とともに徐々に回転し、出る時には縦向きで顔面が母体の背側を向く。この場合、母体の前方に子の後頭部があるので前方後頭位と呼ぶ。

図18 第二・第三回旋

 第二回旋の異常としては、第二回旋が起こらず、児頭が骨盤の出口付近まで横向きのまま下降する低在横定位、逆方向に回転して顔面が母体の腹側を向く前方前頭位などがある。

③第三回旋(図18図18 第二・第三回旋):児頭が前方後頭位で骨盤の出口まで下降すると後頭部は恥骨の下で固定され、これを支点として、屈位となっていた頭部が前方に伸展するとともに娩出される。

④第四回旋:児頭は娩出されると、もとの横向きにもどる。これを第四回旋と呼ぶ。

原因は何か

 骨盤の形態異常や児頭骨盤不均衡(児頭が母体の骨盤の広さに比べて大きすぎて順調に産道を通過できない状態)が主な原因です。

症状の現れ方

 陣痛が持続しているのに分娩が進行しない場合、回旋異常の有無を検討する必要があります。時間とともに陣痛が弱くなって微弱陣痛になってしまう場合、また逆に強くなって過強陣痛になってしまう場合もあります。

検査と診断

 内診、超音波検査、必要に応じて骨盤のX線検査を行って診断します。

治療の方法

 回旋異常になっても骨盤に十分な広さがあり十分な陣痛があれば分娩の進行が可能なことも多いのですが、分娩の進行が認められない場合は、経腟分娩をあきらめ、帝王切開による分娩を行います。

病気に気づいたらどうする

 分娩の進行が不良な場合は、回旋異常の可能性を考えて検査を行います。

(執筆者:北里大学医学部産婦人科教授 海野 信也)

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