出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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多発性筋炎
たはつせいきんえん

もしかして... 多発性筋炎

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多発性筋炎とは?

どんな病気か

 膠原病の一種としての多発性筋炎がまず有名です。患者さんの数も多く、診断に苦慮することも多い病気です。何らかの原因で自分の筋肉に自己抗体をつくり、自分の筋細胞を破壊すると考えられます。

症状の現れ方

 発熱、関節炎(関節が赤くはれ、痛い)、筋痛とともに筋力低下が数カ月の間に進行します。皮膚症状が合併すると皮膚筋炎(コラム)と呼ばれますが、本質的には同じ病気と考えます。

検査と診断

 血清CK(クレアチンキナーゼ)値の上昇と、筋生検(組織の一部を採取して調べる検査)での筋細胞の壊死・再生所見と細胞浸潤の出現によって診断できます。血清Jo-1抗体の出現もみられます。

治療の方法

 膠原病の一種ですから、副腎皮質ステロイド薬の投与が効果的です。発病後6カ月以内に治療を開始することが大切とされています。ステロイド薬の効果が思わしくない症例では、免疫グロブリン大量静注療法が有効だという報告もあります。

 筋痛がある間は安静にしているべきですが、筋痛がなくなったら積極的にリハビリテーションを行うことが大切です。

 中年以降の多発性筋炎の半分近くが、悪性腫瘍(がん)の一症状です。発症した時点ではがんが見つからないことが多く、数年経過してから初めてがんが見つかることも少なくありません。

多発性筋炎と関連する症状・病気

(執筆者:国立病院機構箱根病院院長 石原 傳幸)

多発性筋炎に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、多発性筋炎に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

多発性筋炎に関連する可能性がある薬をもっと見る

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コラム多発性筋炎の皮疹

国立病院機構箱根病院院長 石原傳幸

 多発性筋炎に皮疹を伴えば、皮膚筋炎と診断されます。

 皮疹として最も有名なものはヘリオトロープ疹です。これは、両側または片側のまぶたに現れる紫紅色の浮腫性紅斑です。手指関節の背面にみられる紫紅色の扁平丘疹は、ゴットロン徴候と呼ばれます。また、肘や膝関節の伸側表面の紅斑なども皮膚筋炎に特徴的です。これらの皮疹だけで皮膚筋炎と診断可能です。

 なかには、これらの皮疹だけあって筋症状のない患者さんがみられ、筋生検を行っても異常所見がなく、診断に苦慮することもあります。このような現象は病気の経過の一断面であって、やがては筋症状も発症するものと考えられています。

多発性筋炎に関する医師Q&A