出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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角膜炎
かくまくえん

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角膜炎とは?

どんな病気か

 角膜炎というのは、黒目の表面の角膜で炎症が起こった状態の総称なので、実際にはこの「角膜と強膜の病気」で述べるいろいろな病気が含まれています。しかし、眼科に行った時は「あなたは角膜炎です」とおおまかにいわれる場合もよくあるので、「角膜と強膜の病気」の最初の項目として解説します。

原因は何か

 外傷、コンタクトレンズ障害、ドライアイ、細菌感染、ウイルス感染、真菌(カビ)感染、その他さまざまな原因があり、なかには原因不明のものもあります。

症状の現れ方

 いろいろな病気の総称なので、症状としては視力が低下したり、痛かったり、異物感があったりと、程度や原因によってさまざまです。

検査と診断

 角膜の病気の診断に役立つ情報の8~9割は、細隙灯顕微鏡(スリットランプ)検査によって得られます。

 スリットランプは、眼に細いスリット状の光を当ててその反射を顕微鏡で拡大してみることによって、眼球のいろいろな組織の細かい状態を調べることのできる器械です(図23図23 蚕蝕性角膜潰瘍の写真はスリットランプでスリットを当てて撮影されたもの)。

 これと、視力検査・眼圧検査は、角膜の病気を調べるにあたって必ず行われると思ってよいでしょう。

 以下の「角膜と強膜の病気」の各項目では、この3つの検査は除いて、それ以外にどのような検査が行われるかを述べます。

治療の方法

 原因によって治療法はさまざまですが、点眼薬による治療が主になります。

病気に気づいたらどうする

 当然のことながら、眼科専門医の診察を受けてください。一般に眼の病気の状態は、自分ではなかなかわかりにくく、同じような症状でも原因によって治療は異なるので、くれぐれも自己治療はしないようにしてください。

 また、角膜の病気では、コンタクトレンズを使用している人は中止することが一応大原則なので、そのように心がけてください(ただし、眼科で角膜の病気に対して治療目的の保護用のコンタクトレンズを使用することはある)。

 以上の諸注意は、以下の「角膜と強膜の病気」の各項目に共通するので、個々の項目ではすべて省略しています。

(執筆者:鳥取大学医学部視覚病態学教授 井上 幸次)

角膜炎に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、角膜炎に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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コラム角膜の構造と透明な理由

鳥取大学医学部視覚病態学教授 井上幸次

 角膜は、黒目の表面の厚さ0・5mmの透明なドーム状の膜ですが、視覚器官である眼に光が入る入口のところにあり、水晶体とともに眼のレンズの役割をしています(図17図17 角膜と涙液の構造)。したがって、角膜がにごったり、ゆがんだりすると視力が非常に障害されます。また、角膜には豊富に神経が分布しているので、角膜に傷がつくと痛みが生じます。

図17 角膜と涙液の構造

 角膜は3層構造をしており、表面をおおう上皮と内側をおおう内皮との間に角膜の大部分を占める実質があります。実質は、コラーゲンの線維とその間を埋める基質としてのグルコサミノグリカン(糖の一種)からなっていますが、その8割弱は水分でスポンジが水を含んだような感じになっています。

 角膜がなぜ透明なのか、その詳しいメカニズムはわかっていませんが、コラーゲンの線維がある一定の間隔をもって規則正しく配列していることが、透明であることのキーであると考えられています(モーリスの格子説)。そのため、角膜実質中の水分が増加して角膜が膨潤し、このコラーゲンの配列が乱れると、たちまち角膜は透明でなくなってしまいます。

 角膜のもうひとつの大きな特徴として、正常な角膜には血管がないということがあげられます。血管がないのにどうやって栄養分を受けとっているか不思議なところですが、角膜表面の涙と、角膜の周囲の白目の表面をおおっている結膜の血管と、角膜の奥にある眼内の前房というところにたまっている房水の三者によって栄養分をもらっているのです。

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