出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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エーラス・ダンロス症候群
えーらす・だんろすしょうこうぐん

エーラス・ダンロス症候群とは?

どんな病気か

 コラーゲン線維の先天性異常で結合組織の脆弱性(もろさ)を特徴とし、関節、皮膚が過伸展する病気で、優性遺伝が多いです。

原因は何か

 病因としては、1型、3型(血管型)、5型(古典型)のコラーゲン遺伝子異常、その他ではコラーゲン修飾酵素異常が知られています。臨床症状から、6型に分類されています。

症状の現れ方

 古典型は、①皮膚過伸展と②瘢痕形成、③関節の過可動性のうち、2つ以上があれば強く疑います。

 古典型は、小項目として、(a)ビロード様皮膚、(b)軟性偽腫瘍、(c)関節過可動症(脱臼、捻挫、扁平足など)、(d)筋肉低緊張、(e)運動発達遅延、(f)溢血斑、(g)組織脆弱性(食道裂孔ヘルニア、肛門脱、直腸脱など)、(h)外科手術による合併症(術後ヘルニア、創傷治癒の遅延など)、(i)心臓弁膜・大血管の異常、(j)家族歴があり、診断の助けになります。

 血管型は、①薄く、透ける皮膚、②動脈、小腸、子宮の脆弱性または破裂、③甚だしい皮膚脆弱、④特徴的鳥様顔貌の4つのうち、2つ以上があれば強く疑います。動脈瘤破裂、外傷による出血、急性腹症などで、救急受診することもあります。

検査と診断

 臨床症状によって、古典型と血管型は診断がつけられます。確定診断にはコラーゲン蛋白質の合成・分泌を、患者の線維芽細胞を用いて検査するか、または遺伝子解析が必要です。

治療の方法

 血管型はとくに、血管破裂、子宮破裂の予防ならびにそれに対する治療が重要です。予後は、血管型以外は良好です。

病気に気づいたらどうする

 皮膚科、整形外科を受診します。

(執筆者:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学教授 宇谷 厚志)

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