出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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リンパ管腫
りんぱかんしゅ

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リンパ管腫とは?

どんな病気か

 体液の一種であるリンパ液が流れる管、すなわちリンパ管が拡張して、皮膚の表面にカエルの卵のような透明な水疱様皮疹が多発したり、皮膚の下に軟らかいしこりができたりする病気です。

原因は何か

 リンパ管の発達段階における形成異常により、その末梢にリンパ液がたまった状態です。皮膚の表面付近に貯留病変があるものを浅在性リンパ管腫あるいは限局性リンパ管腫と呼び、深部に貯留があるものを深在性リンパ管腫と呼びます。

症状の現れ方

 生まれつき存在する場合と、小児期に徐々に現れる場合とがあります。

 浅在性リンパ管腫は、皮膚の表面にカエルの卵を思わせる数mmの透明な小水疱様皮疹が寄り集まって発生します(図83図83 浅在性リンパ管腫)。内部に血液成分が混じって赤色調、あるいは黒褐色調を示すものが混在する場合もあります。

 深在性リンパ管腫は、表面がなだらかに隆起した大きさが数cmを超える大型の軟らかいしこりです(図84図84 深在性リンパ管腫)。皮膚の表面には変化がなく、その下の皮下にしこりを触れますが、表面に浅在性リンパ管腫を合併することもあります。

検査と診断

 見た目や触診により診断可能なものが大部分です。黒褐色調を示し他の疾患の疑いがある場合には、ダーモスコピー検査(特殊な拡大鏡を用いた検査)を行ったり、一部分を切除して病理学的に確定診断を行うことがあります。深在性リンパ管腫では、針を刺して内容液を確認することも可能です。また、大きな病変では治療前にCTやMRIなどの画像検査を行って、病変の広がりを確認します。

治療の方法

 外科的に切除する方法と、病変の内部に薬剤を注入して壁を破壊・癒着させる硬化療法とがあります。

病気に気づいたらどうする

 皮膚科専門医を受診して、治療可能な施設を紹介してもらうことをすすめます。

(執筆者:群馬大学大学院医学系研究科皮膚科学准教授 田村 敦志)

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