出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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虹彩離断
こうさいりだん

  • 眼科
  • 診療に適した科

もしかして... 前房出血  硝子体出血  網膜剥離

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虹彩離断とは?

どんな外傷か

 鈍的外傷により、虹彩が離断された状態です。多くは前述の前房出血を伴います。

原因は何か

 外力が加わって、その圧力が虹彩を引き伸ばし、引き裂かれることによります。

症状の現れ方

 瞳孔は正常では正円をしていますが、離断した虹彩は牽引がかかり(引っぱられる)、不整形を示します。全周にわたって離断した場合を外傷性無虹彩症といいます。程度により異なりますが、多くの症例で視力低下、羞明(まぶしさ)、眼圧の上昇などを来します。

検査と診断

 視力・眼圧・細隙灯顕微鏡検査(隅角検査を含む)、眼底検査などを行います。外傷性虹彩炎、高眼圧、硝子体出血網膜剥離などの合併症の有無を確認します。

治療の方法

 散瞳薬(アトロピン点眼)、ステロイド薬の点眼で炎症を鎮めます。また、高眼圧に対しては、点眼および内服治療を行います。

(執筆者:慶応義塾大学医学部眼科学教授 坪田 一男)

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慶応義塾大学医学部眼科学教授 坪田一男

 図15図15 眼の断面図は眼の断面図です。

図15 眼の断面図

 眼の前のほうからいくと、まず、角膜と呼ばれる透明な膜があります。外界と接しており、外傷の影響を受けやすい部分です。

 その奥は、前房と呼ばれる房水という水がつまった部分があります。鈍的外傷の際に起こる前房出血はこの部分に起こります。

 さらにその奥に、虹彩というカメラにたとえるとしぼりの役割を果たす構造があります。血管、色素が豊富で鈍的外傷を受けた眼の炎症の主要部となります。

 水晶体は、チン小帯と呼ばれる組織により支えられています。水晶体はいわゆるレンズの役割を果たしています。

 硝子体は、ゲル状の物質で満たされた透明な組織です。光が眼のなかに入り、水晶体、硝子体をへて、カメラにたとえるとフィルムにあたる網膜に像を結び、視神経を介して大脳に伝わり、物を見ることになります。

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