出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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救命・応急手当の基礎知識執筆:筑波メディカルセンター病院救急診療科医長 上野幸廣

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止血法

 バイスタンダーの救命手当のもうひとつの柱が「止血法」で、主に外傷による外出血がある場合に行う手技です。

 外傷などで体内の血液を急速に大量に失うと全身の血液の循環が悪くなって、「出血性ショック」という重篤な状態になり、生命に危険が及びます。

 出血性ショックとは、

・手足が冷たく、湿っている

・顔色が真っ青

・冷汗をかく

・脈が速く弱くなる

・目がうつろになる

・表情がぼんやりしている

・無気力、無関心になる

・うわごとをいっている

などの症状が現れる状態です。

 このようなショック症状が現れたらもちろん、現れなくても出血をしたら、ただちに止血しなければなりません。

 なお、大きな事故などで出血と意識障害の両方があり、血液が傷口からピューピューと噴出している場合は止血を優先します。出血が激しくない、または一応止血した状態では前述の心肺蘇生法を行って救急車の到着を待ちます。

 止血法には、直接圧迫止血法や止血帯法、間接圧迫止血法などがありますが、最も一般市民にすすめられているのは、直接圧迫止血法(図10)です。

図10 直接圧迫止血法図10 直接圧迫止血法

●直接圧迫止血法

(1)傷口に清潔なガーゼやハンカチ、布などを当て、その上から手で、あるいは包帯や三角巾などを巻いて、血が止まるまで圧迫し続ける。

・片手で止まらない場合は、両手で圧迫する

・手足などの傷口は、心臓より高く上げておく

(2)ガーゼなどの当て布に血液が滲んできたら、もとのガーゼを取り除かずに、その上から別の当て布を重ねてのせ、圧迫し続ける。

※感染予防のため、血液には直接触れないこと。できればゴム手袋やビニール手袋を使用する。