肩こりに潜む重篤な疾患を見逃さない
[近畿] 2013年8月14日 [水]
大阪厚生年金病院
脊椎外科主任部長・細野昇先生
大阪大学医学部卒業。日本整形外科学会専門医、日本脊椎脊髄病学会指導医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医。著書も多数。
日本人が抱える疾患の第1位は肩こり
厚労省の調査によれば、日本人の約8割もの人が感じていると言われている肩こり。大阪厚生年金病院の細野先生は、その肩こりのエキスパートとして、多くの方の診断・治療を行っています。
「肩こりは英語に訳すと『ネックペイン』と訳されます。つまり、首の痛みということ。
日本人が抱える疾患の中でも腰痛と肩こりは1位で、多くの人が悩んでいる疾患ですが、実は肩こりに関しては明確な定義がありません。僧帽筋の不快感、筋疲労など様々な要素が考えられますが、それが肩こりとイコールになるかというと、一概には言えません。ただ、現在、肩こりは首が原因となるものが多いということがわかってきています」
肩こりには重要な疾患が隠れている場合も
肩こりは、いくらひどくても「病院へ行くほどではない」と、マッサージなどでその不快感を解消している場合も多いのではないでしょうか。しかし、細野先生によれば、怖い疾患が隠れている場合もあると言います。
「50代のある女性は、肩こりがひどいと診察に来られました。更年期症状もあり、この患者さんは『ただの肩こりがひどくなった』という感覚だったのですが、実際調べてみると胸椎に脊髄腫瘍が見つかりました。この女性の場合、1年ほどこの症状が続いていたと言います。他にも、私が診た事例では、乳がんからの骨転移で、首の骨が折れてしまっており、それが肩こりという症状として表れていたという場合もあります」
いつもと違う症状が出たらまずは病院へ
このように危険な肩こりを見逃さないためにも、いつもと違う感覚があった場合は、受診することが大切だと先生は言います。
「肩こりは、筋肉が硬い=症状が重いというわけではありません。筋肉の硬さには男女や皮下脂肪の割合などで個人差があるからです。ではどのように見分けるかと言えば、まず首を後ろに倒した時に、痛くなる場合。そして、肩こりの症状に加えて、しびれや歩きにくさを感じる場合は要注意です。このような症状が見られた場合は、ぜひ一度受診をし、適切な治療を受けることが大切です」
大阪厚生年金病院
公式サイト:http://www.okn.gr.jp/index.html