骨折するまで気付かない!?静かに忍び寄る骨粗しょう症の怖さ
[ニュース・トピックス] 2014年3月05日 [水]
骨折・腰痛と骨粗しょう症の治療スタート時期を比較調査
骨密度が低下したり骨質が劣化することによって起こる骨粗しょう症。とくに高齢期の女性に多く、全国に推定1280万人はいるとされています。骨粗しょう症になると骨折を起こしやすくなり、高齢になってからの骨折は要介護状態を招く危険があるため、骨粗しょう症は早期の発見・治療が重要であるとされています。
しかし、骨密度の低下や骨の劣化は自覚が難しいため、骨粗しょう症にかかっていながらも、“気付いていない”という人がほとんどです。むしろ、骨粗しょう症の自覚がないまま、骨折や腰痛などの症状が出て初めて受診し、骨折や腰痛の治療の過程で骨粗しょう症の治療も始めるケースが多いようです。
そこで、骨粗しょう症と骨折や腰痛などの併発状況をニッセイ基礎研究所が調査し、実際にどちらの治療が先に開始されているかの分析が行われました。
骨粗しょう症のみで治療を開始している人は全体の約25%
この調査では、株式会社日本医療データセンターが持つ2005年1月から2011年12月までの計7年間のレセプト(診療報酬明細書など)データを使って、性別・年齢別に骨粗しょう症、骨折、腰痛による受診歴と治療開始日を分析しました。
それぞれの治療開始タイミングを比較したところ、骨折や腰痛の治療開始日と比べて骨粗しょう症の治療開始が早かったのは25%、骨折や腰痛と同時に治療を開始したのが27%、骨折や腰痛の治療開始後に骨粗しょう症の治療を開始したのが49%となっていました。つまり75%は、骨折や腰痛の症状が出てから骨粗しょう症の治療を開始していることになります。
骨折や腰痛を併発しておらず、骨粗しょう症のみで受診した人は全体の4分の1程度しかいないことから、骨粗しょう症の症状だけで受診する人がいかに少ないかがわかりました。
要介護状態を招く危険性が高いにも関わらず、骨粗しょう症に対する危機感はまだまだ希薄な状態だといえます。自覚症状が乏しい病気なだけに、定期的な検査をしておくことが重要です。(そねゆうこ)