人工股関節 24%は臨床的な有用性が立証できないと判明

[ニュース・トピックス] 2014年3月07日 [金]

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一部の人工股関節で再置換が高頻度で発生

(この画像はイメージです)

 「人工股関節置換術」とは、骨折や変形性関節症・関節リウマチなどにより変形してしまった損傷部分を、金属やセラミックなどでできた人工股関節に置き換える手術のことです。高齢化に伴い股関節疾患の問題を抱えている人は年々増加傾向にあり、毎年多くの方が治療のために、この人工股関節置換術を受けています。
 ところが、英国・クイーン・エリザベス病院のF Kynaston-Pearson氏らの調査によって「現在、整形外科医が臨床で使用できる人工股関節のうち、24%は有用性について良いといえる証拠がないと判明した」との、報告がされました。
 この調査は、一部の人工股関節で再置換が高頻度に起こっていることを受け、現在使用されている人工股関節が、十分な有用性のあるものかをあらためて検討する目的で行われました。

2011年に実施された置換術では7.8%が有用性不明の人工股関節を使用

 整形外科医が使用できる人工関節は数多くありますが、実はそれらの中で、臨床的有用性が立証されているものがどれ程あるのかはこれまで不明でした。
 同研究ではまず、2011年に人工股関節全置換術に用いられていた人工股関節を特定し、次にそれらの人工股関節について様々なデータベースを用いて文献をくまなく調査するシステマティックレビューを行いました。その結果、英国で手術医が入手可能なすべての人工股関節、235種のうち24%にあたる57種は、臨床的有用性の証拠がないことが判明したのです。
 また、2011年に行われた人工股関節全置換術13万6,593例のうち、1万617例(7.8%)が、臨床的有用性の証拠がない人工股関節を使った手術でした。
 自分の骨を削り人工関節を体内に取り込む手術は、患者さんにとって、身体的にも精神的にも大きなストレスを強いられるものです。治癒したい一念で踏み切った手術が、実は「医学的証拠がない」ものを使って行われていたとしたら、それはとても残念なことではないでしょうか。この調査報告を機に、“有用性が立証されている人工関節”のみが使用される体制が確立されてほしいものです。(そねゆうこ)

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