100年で30歳、寿命の延伸と共に社会問題となった“痛み”

[ニュース・トピックス] 2014年9月19日 [金]

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人生80年の時代、顕在化した運動器の痛み

日本整形外科学会理事長
九州大学大学院医学研究院整形外科教授
岩本幸英先生

 日本整形外科学会 平成26年度記者説明会が9月11日、都内で開かれ、同学会理事長の岩本幸英先生らが講演しました。岩本理事長は「運動器は、骨・関節・筋肉・腱・神経などの総称で、車に例えるとエンジンやタイヤのようなものです。どれか1つでも壊れてしまうと、体はうまく動いてくれません」と語り、運動器を健康に保つことの重要性を示しました。
 また、岩本理事長の資料によると、約2,000年前のローマ時代では22歳だった平均寿命が1900年代に世界有数の先進国だったアメリカで49.2歳まで伸びました。そこからおよそ100年後、1996年の日本人男女では80.3歳まで平均寿命が伸びました。
 「人間が直立二足歩行をするようになってから、背骨や関節には大きな負荷がかかるようになりました。人生50年の時代には問題ありませんでしたが、人生80年となった今、それが顕在化するようになったのです」(岩本理事長)

要支援・要介護になる要因第1位という事実

 運動器疾患として代表的なものに変形性腰椎症、変形性膝関節症、骨粗しょう症(腰椎、大腿骨頚部)などがあります。これらの疾患を1つ患うだけでも、日常生活で困ることが出てきます。上記3つの疾患を1つ以上患う人は4,700万人にのぼり、日本人の3人に1人が運動器疾患を抱えている状況です。また、複数の運動器疾患を患う人も多いそうです。3つの疾患のうち、2つ以上を患う人は2,470万人、3つすべて患う人は540万人にのぼります。
 こうした運動器疾患を合算すると、要支援・要介護要因の第1位になります。しかし一般の人を対象に要支援・要介護の要因について意識調査を行ったところ、脳血管症や認知症、老衰が上位となり、運動器疾患は第4位でした。これについて岩本理事長は、「運動器疾患が大変な病気であるということを認識している人は少なく、啓発が必要であると思っております」と語り、今後も運動器疾患の認知度向上と対策に力を入れていくとしました。(QLife痛み編集部)

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