女性に多い痛みの傾向とその原因は?【後編】

[ニュース・トピックス] 2014年11月12日 [水]

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エストロゲンの減少が痛みの感じ方に関与との研究も

(画像はイメージです)

 生物学的に、また社会的な役割としても大きな違いがいある女性と男性。「一般的に、女性は男性より筋肉量が少ない、骨粗しょう症になりやすい、平均寿命が長いなど生物学的な差があります。また、社会的な性差もあり、若くは仕事、家事、子育て、年齢を重ねてからは親の介護など、多くの負担があります」と、井関先生は語ります。
 また、女性は年齢と共にホルモンバランスが変化しますが、これも痛みと関係があるとのこと。井関先生は、「エストロゲンが減ると痛みを感じやすくなるといわれています。更年期に起こる頭痛はこのエストロゲンの減少が関与していると考えられています。女性の方が痛みに強いといわれることもありますが、そのようことはありません」と明かしました。

鎮痛剤が新たな頭痛を招く?

 では、女性にはどのような痛みを伴う病気が多いのでしょうか。さまざまな病気が考えられますが、井関先生はその一例として片頭痛をあげました。片頭痛は、推定1,000万人の患者さんがいるといわれます。「男性よりも女性に患者さんが多く、その差はおよそ3.6倍にもなります。特に30代女性では5人に1人が片頭痛を抱えているとされ、ホルモンバランスの影響によるものと考えられています」(井関先生)
 片頭痛が起きた際、市販の鎮痛剤で対処している方も多いでしょう。しかし、井関先生は「中等度以上の片頭痛の治療には(市販薬にない)トリプタン製剤が使われています。片頭痛もひとつの疾患と認識して、医療機関で適切な治療を受けることが大切です」と語りました。
 また、鎮痛剤の安易な服用や、医師や薬剤師の指導を無視した服用は、「薬物乱用性頭痛」という新たな病気のリスクを高めることにつながります。「鎮痛剤の服用は男性よりも女性に多く、薬物乱用性頭痛の患者さんも女性の方が多いことがわかっています。自己判断による服用にはリスクがあることを覚えておきましよう」(井関先生)
 最後に井関先生は「女性は一生涯のうちにさまざまな疼痛疾患を経験する可能性があります。痛みには種類があり、それに応じた治療法があるため、自己判断による対処ではなく、専門家の診断を受けることが大切です」とまとめ、これからますます活躍が求められるだろう女性たちへ、エールを送りました。(QLife痛み編集部)

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