手首に現れたその痛み、原因は炎症?それとも神経?

[ニュース・トピックス] 2014年11月21日 [金]

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神経の圧迫による痛みやしびれ「手根管症候群」

(画像はイメージです)

 手根管症候群という病気をご存知でしょうか。手根管症候群は、手首を通る「正中神経」が何らかの理由で圧迫されることで起こる病気で、男性よりも女性の患者さんが多いことが知られています。日本神経治療学会のガイドラインによると、男女差はおよそ3~10倍にのぼるといいます。
 正中神経は、前腕を内側にひねるように回す運動、手首や手指の屈曲、親指を手の平と垂直に立てる運動などの役割を担っています。この神経は、手首にある手根管というトンネルを通り抜けており、三方向を骨の壁、残りの一方を靭帯によって囲まれています。そのためこの部分が圧迫されやすく、腱鞘炎、妊娠時の水分貯留、糖尿病などにより、機能が損なわれ、しびれや痛みを引き起こしてしまうのです。

似たような箇所が痛む「ドゥケルヴァン病」とは異なる病気

 以前、痛みのニュース・トピックスで取り上げたドゥケルヴァン病と似ている病気ですが、ドゥケルヴァン病が腱の炎症による痛みだったのに対し、手根管症候群は、神経の圧迫による麻痺、痛みなので、治療が異なります。安静にして痛みが引くのを待ったり、鎮痛剤が処方される点は同じですが、それぞれに処方される薬の作用が違うこともあるので、使い回しは避けた方が良いでしょう。
 ファイザー株式会社が行った、女性の痛みに関するセミナーで講演した順天堂大学の井関雅子先生は、「家事を担うことが多い女性は、手を安静に保ち、治療を継続することが難しい」ため、治療にあたっては「家族の理解や協力が不可欠です」と語ります。また、ドゥケルヴァン病や他の痛みを伴う病気との違いを一般の方が判断するのは難しいことから、「放置せずに医療機関を受診することが大切です」と、病院で正しい診断を受けることの重要性を強調しました。
 ヨーロッパのデータでは、手根管症候群の有病率はおよそ4%。一見少なく思えますが、人口1億2000万人の日本に当てはめると、その数はおよそ500万人となります。決して珍しい病気ではない手根管症候群。手首の痛みや手のしびれが気になる方は、一度病院を受診してみてはいかがでしょうか。(QLife痛み編集部)

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