ご存知ですか?今、注目を集めるインターバル速歩

[ニュース・トピックス] 2014年12月05日 [金]

facebook
twitter
google
B

一人ひとりに適した“運動処方”でいつまでも健康に

信州大学 能勢博先生

 加齢に伴う筋力の衰えは、転倒による骨折や、活動量の低下による認知機能の衰えを招くなど、高齢者の健康にとって、重大な影響を与えかねない問題です。この筋力の衰えは「サルコペニア」と呼ばれ、現在では予防に向けたさまざまな取り組みが行われています。
 その中のひとつに「インターバル速歩」というものがあります。インターバル速歩は、長野県松本市にあるNPO法人熟年体育大学リサーチセンターらが進めている“運動処方”です。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、運動処方とは、お薬がその人に適したものが処方されるように、予防のための運動も個々人にあったものを行うべきとの考え方です。
 インターバル速歩は、3分間の「早歩き」と3分間の「ゆっくり」を、早歩きした時間の合計が15分以上になるよう、交互に繰り返す運動法です。実は、いわゆるウォーキングでは筋力、持久力の向上が見込めないことが、これまでの研究で明らかになっており、運動生理学の定説である個人の「最大体力の7割以上の負荷」をかけることができる手軽な運動法として開発されたものです。

6か月間のトレーニングで、体力が最大20%向上

 熟年体育大学は、2004年から長野県内で5,400名を超える中高年者の方を対象として、インターバル速歩による運動処方を実施。その結果、わずか6か月間のトレーニングで「体力が最大20%向上」し、「生活習慣病の症状が20%改善」したことが実証されたといいます。
 この研究に携わった信州大学の能勢博先生は、都内で行われたセミナーで「人は30歳を過ぎると10年で5~10%ほど体力(筋力)が落ちていき、最も体力がある20歳代のころの30%以下の体力で要介護状態になるといわれています。6か月間、インターバル速歩を行うと体力が10%上がることが分かっていますので、多くの方に取り組んでいただきたいと思います」と語りました。
 このインターバル速歩の運動処方を行うには、計測器で集めた運動データを公民館などの施設にあるパソコンで、長野大学まで送る必要がありました。しかし、現在では、スマートフォンのアプリケーションを使って、データを送信できる段階にまで来ているそうです。さらなる開発が進み、手軽に行えるサルコペニア・介護予防法として、広く一般に浸透する日が待たれます。(QLife痛み編集部)

記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。

「痛み」の注目記事