腰痛など骨や関節の痛みにアセトアミノフェンは効果なし?

[ニュース・トピックス] 2015年4月24日 [金]

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脊椎痛や変形性関節症を対象としたランダム試験の結果を解析

(この画像はイメージです)

 「痛み止め」や「解熱剤」として広く使用されているアセトアミノフェン。風邪をひいた時や腰が痛くなった時に、服用したことのある人も多いのではないでしょうか。しかし、このアセトアミノフェン、骨や関節の痛みに対する有効性は、高用量でも不十分かもしれないという研究結果が、豪シドニー大学の研究チームから発表されました。
 シドニー大学からは2014年にも、急性腰痛に対するアセトアミノフェンの服用は、プラセボ薬(擬似薬)と比較して、回復するまでの日数などで違いが見られないという研究結果が寄せられています。
 今回の研究は、首や腰の脊椎痛、股関節または膝関節の変形性関節症を対象として、アセトアミノフェンと疑似薬の有効性と安全性を比較した計13のランダム試験を解析したもの。痛みや運動障害、QOL(quality of life:生活の質)に関するデータが抽出され、解析されました。

4000mgという高用量でも有用性は示されないと結論

 まず腰痛については、アセトアミノフェンを投与したのち、すぐに効果が出るかを調べた2件の研究を解析。痛みの有意な軽減はなく、QOLや運動障害の改善にも効果がないとの結果が示されました。変形性関節症を対象とした研究では、即効性について検討していた5件を解析したところ、臨床的には意義の無い程度の痛みの軽減があったことが示されたといいます。
 日本では2011年1月、アセトアミノフェンの承認用量が1日最大4000mgに引き上げられ、強い痛みに対する鎮痛薬として広く用いられています。一方、米国では変形性膝関節症の痛みに対するアセトアミノフェンの使用は、2013年5月に米国整形外科学会(AAOS)がガイドライン改訂に合わせて、推奨度を引き下げています。
 今回の解析では、さらに腰痛や変形性股関節症についても、疑似薬と比較して、効果がないとの結論が出されました。また、承認用量の上限の4000mgであっても、アセトアミノフェンの有用性は示されないとの結論にいたっています。4000mgという用量については、副作用を危惧する声も上がっており、今後のさらなる研究が待たれます。(QLife痛み編集部)

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