腰痛のお医者さん選びのコツ アメリカでは・・・

[ニュース・トピックス] 2013年8月20日 [火]

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アメリカでも腰痛は社会問題

(この画像はイメージです)

 アメリカでも腰痛は深刻な社会問題です。7月にベスイスラエル医療センターが発表したレポートでは、適切な腰痛治療のガイドラインに従うことで、患者は苦痛から解放されると同時に、行政レベルでも保険医療に関する出費を削減できると指摘しました。
 アメリカでは、腰痛は受診理由の5位に入る国民的な健康問題です。現在アメリカで使われている治療のガイドラインでは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェンの使用、理学療法の3つの組み合わせが「腰痛に対するファーストステップ」としてすすめられています。この治療で、大抵の腰痛は3ヶ月程度で良くなるとされています。

高価な画像診断や強い痛み止めは必要性をきちんと説明してもらって

 このガイドラインが作成されたのは1990年代と古い内容を多分に残しています。これによると、大抵の腰痛は、さきほどの「ファーストステップ」で改善するため、高価な画像診断はあまり必要ではないとしているのです。また、このガイドラインでは、麻薬やオピオイドの利用や専門家への紹介に対しては消極的です。
 

しかし、ガイドラインでは、麻痺などのように、明らかに神経に影響するような症状が出ている場合や、悪性腫瘍などの病気がある場合は、より踏み込んだ治療が必要とされています。つまり、画像診断や、強い痛み止めの使用は、こうした状態が考えられるようになってから使うことを提案しているのです。
 

今回発表された調査では、実際の現場での治療がガイドラインにどの程度沿っているかを調べるため、1999年から2010年の間の、のべ23918件の受診データを元に、その治療経過について分析しました。
 

すると、ガイドラインでは推奨されていなかった、CTやMRIを用いた頻繁な画像診断、専門家への紹介、麻薬の使用を含む痛みの治療の割合が激増していることが分かりました。同時に、前述の「ファーストステップ」の治療を行う割合が減少していました。
 

日本でも、画像診断は高価な検査に属するとされ、長い間腰痛治療を行わなければならない患者さんの悩みの種でもあります。一方で、お医者さんからすすめられた画像診断が本当に必要なものであるかどうかを、患者さんが判断するのは実際には難しいものです。
 

腰痛をはじめとする慢性疼痛は、長い期間の上手な痛みとのつきあいが必要になります。お医者さんとも長くつきあうことを頭に入れて、検査や手術などの話が出たときには、こちらの疑問や不安に耳を傾けてくれて、的確なアドバイスを得られるような病院選び、お医者さん選びを心がけましょう。(唐土ミツル)

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