脚腰に痛みが出たら、早めに受診しましょう
[腰椎椎間板ヘルニアと生活, 腰部脊柱管狭窄症と生活] 2015年2月10日 [火]
いったん治っても、再発することがあります
突然、激しい腰痛がおこったら、多くの患者さんは医療機関を受診するでしょう。でも、がまんできる程度の脚腰の痛みがだらだらと続いていたり、脚にしびれがあったりする場合は、「もう少しようすをみてみよう」と考えることも多いと思います。
人体には自然治癒力がありますから、軽いぎっくり腰、仕事やスポーツなどの疲労による腰痛や脚の痛みは、受診しなくても時間がたてば自然におさまります。しかし、痛みやしびれが1カ月以上おさまらない場合は、なにか原因となっている病気があるのかもしれません。症状が長引くときはできるだけ早く整形外科を受診するようにしましょう。
腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアの場合、一度ヘルニアをおこした患者さんは、手術で問題のあった部分を取り除いたとしても、椎間板をすべて取り除くわけではないので、同じ場所からの再発もありますし、将来、別の椎間板におこることも考えられます。
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)も老化に伴う病気のため、最初の部位の症状がおさまっても別の部位に発症することがあります。
再発に対して、とくに神経質になる必要はありませんが、腰痛や脚の痛み、しびれが生じた場合は、早めに担当医に相談してください。
筋力を保つことが予防につながります
◎適度な運動を心がけましょう
【腰椎椎間板ヘルニア】
保存療法を行い、動ける程度まで痛みがおさまったら、安静を保つ必要はなく、日常生活に戻ります。症状がぶり返さなければ、薬の服用は中止します。同時に、運動を始めるようにします。腹筋・背筋の筋力を高め、脚の筋肉の柔軟性を保つような運動を心がけましょう。
手術を受けた場合は、手術部位の痛みが軽くなってきたら、徐々に日常生活に復帰します。問題がなければ、そのまま経過観察を続けます。痛みがおさまってきたら、腹筋や背筋の筋力アップを図るために運動を始め、ハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)や、股関節(こかんせつ)のストレッチを行います。
いずれにしても、患者さんはおおむね3カ月で、スポーツや体を使う仕事をふくめた元の活動に戻ることができます。その後も、症状の再発を防ぐため、筋力や柔軟性が落ちないように適度な運動を続けることがたいせつです。
【腰部脊柱管狭窄症】
手術を受け、退院したばかりでも、手術部位の痛みがおさまり脚の状態がよければ、日常の生活に復帰してかまいません。
腰椎椎間板ヘルニアと同様に、筋力強化やストレッチなどの運動をします。また、脊柱管をゆるめる前屈体操をしてもよいでしょう。
この病気は高齢の患者さんが多いので、意識して体を動かさないと筋肉が衰えて、余計に体を動かしにくくなります。無理な動きは神経の障害を進行させることになるので禁物ですが、腰椎への負担を減らし、日常の動きをスムーズにするために、適度な運動を続けることがたいせつです。これは手術を受けた患者さんも、保存療法を行っている患者さんも同様です。
(正しい治療がわかる本 腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症 平成22年8月14日初版発行)