関節リウマチ手術前後の生活の注意点

[手術療法] 2015年9月01日 [火]

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手術前後の生活の注意点

 関節リウマチの手術を受ける際は、前後の一定期間、抗リウマチ薬や生物学的製剤の服用をお休みします。これらの薬には、「免疫機能を抑えることで免疫異常に伴う関節炎を止める」という共通の働きがあります。しかし、手術後の傷をふさぐには免疫機能の働きが不可欠ですので、薬の服用をいったん休むわけです。これを「休薬」といいます。言い換えれば、関節リウマチの手術を受けることができるのは「一定期間、休薬しても著しく病気が進行しない人」です。どのくらいの期間休薬するのかは、薬によって異なります。休薬中に免疫機能がきちんと働くようになっていないと、手術の傷の治りが遅れたり、感染症をおこしたりする危険があります。

 生活面でも手術前後には注意が必要です。まずは、ストレスを減らすなど、関節症状を悪化させる要因を遠ざけましょう。また、日常生活で転倒しないように気をつけます。関節リウマチの患者さんは、骨が弱くなっているため転倒すると骨折する危険があり、人工関節の周囲に骨折が発生すると、その後の修復治療が困難になります。

 リハビリテーションは非常に重要です。とくに関節の可動域をとり戻す手術を受けた場合、どの程度回復するかはリハビリの成否に左右されるほどです。無理をせず、しかし地道にリハビリを続ける決意が大切です。手術前に主治医とよく話し合い、術後のリハビリ計画を立てておくとよいでしょう。

 一定期間が過ぎたら、薬物療法を再開し関節の炎症を最低限に抑えます。このようにして寛解状態が維持できれば、手術の成果も最大限に生かされ、生活機能も回復するでしょう。

いったん休薬して、免疫機能をとり戻す
いったん休薬して、免疫機能をとり戻す

監修:林 泰史 東京都リハビリテーション病院院長
1939年生まれ。1964年京都府立医科大学卒業後、東京大学整形外科に入局。東京都衛生局技監(東京都精神医学研究所所長兼任)、東京都老人医療センター院長、東京都老人総合研究所所長などを経て2006年より現職。
著書は「老いない技術」(祥伝社)、「骨の健康学」(岩波書店)など多数。

(スーパー図解 関節リウマチ 平成25年9月26日初版発行)

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