関節リウマチの作業療法 ― ふだんの生活のなにげない動作を見直す

[関節リウマチと生活] 2015年10月06日 [火]

facebook
twitter
google
B

作業療法――ふだんの生活のなにげない動作を見直す

 関節リウマチでは、よく「関節に大きな負担をかけないように」といわれます。どんな動き方が関節に大きな負担をかけないのか知らないままでは、「なるべく動かない」ことを選択するしかありません。一方で、「筋力や関節の柔軟性を保つための適度な運動」も奨励(しょうれい)されています。「いったい、どうしたらいいの?」と思ったとき頼りになるのが“作業療法”と、それを指導してくれる“作業療法士”です。

 作業療法とは、病気が原因でからだに痛みがあったり使えない働きがあった場合は、動作や姿勢、道具などを工夫してできるだけ自分で自分のことをする – すなわち、日常の生活機能を維持し、高めるための療法です。自立のためのトレーニングともいえます。

 例えば、座る姿勢一つをとっても、肘をついたり、猫背になったり、足を組んだり、あるいは首を曲げたりと、人それぞれに癖があります。健康な人なら意識しなくてよいことが、関節リウマチの患者さんにとっては、関節への負担となる場合もあるため、いろいろな姿勢や動作を見直してみるとよいでしょう。手首を例に挙げると、カップを持つときは両方の手のひらを使って支えたり、手首の向きに注意しながら物を持つなど、手首への負担を減らす方法はいくつもあります。

 大切なのは、「工夫すれば、意外とできる!」と実感することです。痛みがあるときに無理をするのは避けなければなりませんが、「リウマチのせいでできなくなった」と思うよりも、「病気があっても工夫次第でできる」と考えるほうが、前向きな気持ちで全体の治療にもとり組めるでしょう。

姿勢や動作を工夫して、関節の負担を減らす
姿勢や動作を工夫して、関節の負担を減らす
いろいろな工夫4
いろいろな工夫5

監修:林 泰史 東京都リハビリテーション病院院長
1939年生まれ。1964年京都府立医科大学卒業後、東京大学整形外科に入局。東京都衛生局技監(東京都精神医学研究所所長兼任)、東京都老人医療センター院長、東京都老人総合研究所所長などを経て2006年より現職。
著書は「老いない技術」(祥伝社)、「骨の健康学」(岩波書店)など多数。

(スーパー図解 関節リウマチ 平成25年9月26日初版発行)

記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。

「痛み」の注目記事