関節リウマチ患者さんの「自分で」を助けてくれる、便利な道具たち

[関節リウマチと生活] 2015年10月13日 [火]

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「自分で」を助けてくれる、便利な道具たち

 思うとおりに力を加えられなかったり、十分にからだが動かないときは、道具の助けを借りるのも一案です。最近よく耳にする「ユニバーサルデザイン」のグッズは、からだの自由が制限されている人も、そうでない人も同様に使いこなせるように作られたもの。見ためも洗練されていて使うのが楽しくなりそうなものもあります。また、関節リウマチ患者さんのために作られた、長柄ブラシ(手が頭の後に届かなくても髪の毛をとかしたり整えたりできる)、ソックスエイド(靴下をはくための自助具)などもあります。既成品のほかにも、自分で工夫したり、リハビリに通う際に作業療法士に相談しながら一緒に作ったりしている患者さんもいます。

「ユニバーサルデザイン」で楽しく・ラクラク
「ユニバーサルデザイン」で楽しく・ラクラク

装具を使って関節を保護・サポート

  関節の炎症が強いときは、なるべく関節を使わず休ませるべきですが、日常生活のなかでは関節をまったく動かさないことは難しいかもしれません。そこで登場するのがサポーター。サポーターは、その名のとおり、関節を固定してなるべく動かさないようにするために装着します。

 手首、肘、膝のサポーターに加えて、頸椎を支えるカラーもあります。サポーターは市販のものもありますが、からだのサイズやどの程度の力でサポートするかなどを医師が判断して処方し、作業療法士や義肢装具士が個別に作成するものもあります。スプリントも手や指、足の関節を保護しながら、力を加えたりつまむ機能を回復したり、変形を阻止する目的で用いられます。これらは、医療機関と連携した義肢装具士がそれぞれの手指に合わせて作成します。

 サポーターやスプリントは、どんなときに、どれぐらいの期間装着したらよいのか、医師および作業療法士とよく相談しましょう。というのは、固定することで変形を予防したり、矯正したり、またグラグラする関節を支えたりといったことが可能ですが、常にこれらの装具を装着していると、周辺の筋力が低下してしまう可能性もあるからです。また、足や足趾が変形して歩行時に疲れやすくなったり痛みを感じたりする場合は、足に合わせて中敷きを作ってもらい、痛む箇所や足の裏のタコなどを保護します。また、多くの医療機関では提携する義肢装具士や医療品メーカーを通して靴そのものを足に合わせてオーダーすることもできます。医療用の装具の費用は健康保険でカバーされます。また身体障害者手帳があると、自己負担なしに作ることも可能です。医療スタッフに相談してみましょう。

自分に合った装具で関節を保護する
自分に合った装具で関節を保護する

療養生活に楽しみや潤いを

 関節リウマチと診断された後、「寛解を目指す」とは言っても、つらいからだの痛み、関節のこわばり、薬の副作用や合併症への不安もあり、心やからだへのストレスをつのらせてしまう場合も少なくないでしょう。関節リウマチの炎症は、心身のストレスが過剰になると悪化する傾向があるようです。療養生活では、このストレスをどのようにコントロールするかが大切です。

 まずは、一日のうちに短時間でもホッとできる時間をとるように工夫してみましょう。リハビリの前後に呼吸法を行ったり、大好きな音楽に浸ったり、好物を食べたり、自分が“心地よい”と感じる状態を意識的につくり出すことです。

 また、「笑い」の効果にも注目です。日本医科大学で行われた実験では、リウマチ患者さんと健康な 人の血中成分の変化を落語鑑賞の前後で調べたところ、リウマチ患者さんのサイトカインIL-6の値が、落語鑑賞後には鑑賞前の3分の1に低下し、健康な人の値に近づきました。このデータから、笑って楽しむことは免疫機能に影響を及ぼし、関節リウマチの活動性を改善させる可能性があると結論づけています。「最近あまり笑ってないな」と思ったら、積極的にお笑い番組やコメディ映画を観て、大笑いしてみるのもよいでしょう。

 さらに、無理のない範囲で、旅行に出かけて気分転換することもお薦めです。予定を詰め込み過ぎず、のんびり、ゆったり過ごすスケジュールを立てましょう。飛行機や電車では長時間同じ姿勢になりがちですから、ときおり体を動かしたり、立ち歩いたりすることを心がけます。

自分なりのストレス解消法を身につける
自分なりのストレス解消法を身につける

監修:林 泰史 東京都リハビリテーション病院院長
1939年生まれ。1964年京都府立医科大学卒業後、東京大学整形外科に入局。東京都衛生局技監(東京都精神医学研究所所長兼任)、東京都老人医療センター院長、東京都老人総合研究所所長などを経て2006年より現職。
著書は「老いない技術」(祥伝社)、「骨の健康学」(岩波書店)など多数。

(スーパー図解 関節リウマチ 平成25年9月26日初版発行)

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