関節リウマチと妊娠・出産

[関節リウマチと生活] 2015年10月27日 [火]

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出産は可能 – 周囲の協力体制を整える

 結論からいうと、関節リウマチの患者さんでも、元気な赤ちゃんを産み育てている人はたくさんいます。母乳育児もできます。実は、妊娠期間中は、関節リウマチの炎症活動性は、ある程度治まる傾向があります。これは、妊娠中は免疫バランスが変わるからではないかと考えられています。

 妊娠を考えたとき、気になるのは薬の影響です。妊婦と胎児に対してその薬が安全かどうかを、ヒトで試験することはできません。データは動物実験に基づくものですから、必ずヒトに当てはまるとは限りません。ただし薬によっては、明らかなことや、新しい研究成果がでているものもあります。

 例えば非ステロイド抗炎症薬は、妊娠28週以降にたくさん服用すると、赤ちゃんが肺高血圧という状態になる可能性があります。ステロイド薬は、胎盤で代謝されるため胎児にその影響はほとんど移行しないとされています。生物学的製剤を含む抗リウマチ薬は、まだ影響がよくわかっていません。

 わからないことが多いため、妊娠を望む患者さんは、計画出産を前提とし、一般的には妊娠が判明する以前から授乳期間が終わるまで休薬します。しかし、前述のように薬と妊娠との関係についての新しい研究成果が日々更新されていますので、最新の安全性に関する情報を主治医によく聞いて休薬すべきかを話し合いましょう。また、産後のストレスによる症状の悪化を防ぐため、パートナーが育児休暇を確保したり、両親や兄弟姉妹、友人などの応援を頼み、協力体制を整えることも大切です。

妊娠・出産 – 胎児への影響
妊娠・出産 - 胎児への影響
監修:林 泰史 東京都リハビリテーション病院院長
1939年生まれ。1964年京都府立医科大学卒業後、東京大学整形外科に入局。東京都衛生局技監(東京都精神医学研究所所長兼任)、東京都老人医療センター院長、東京都老人総合研究所所長などを経て2006年より現職。
著書は「老いない技術」(祥伝社)、「骨の健康学」(岩波書店)など多数。

(スーパー図解 関節リウマチ 平成25年9月26日初版発行)

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