がん患者さん「家族」の「患者の悩み理解」と「家族ならではの悩み」

[がん患者と家族が語る「闘病の悩みと解決法」] 2010/09/14[火]
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 「男の2人に1人、女の3人に1人」ががんにかかると言われる時代。がんは身近な病気です。では実際にがんになると、どんな悩みを持つものでしょうか。告知を受けた直後と治療が進んだ後とでは、悩みの中身は変わってくるものでしょうか。
 QLifeでは、がん患者さんや家族などを対象に有効回答8218人の大規模アンケート調査を行いました。その結果を3回に分けて紹介します。
 第二回目は、がん患者さんの「家族」の視点についてです。

 調査結果によると、告知直後に患者さんが悩んでいる内容を、家族は大体把握しているが、患者さん本人に比べて「不安など心の問題」をやや過大視し、「就労・経済的負担」や「診断・治療」の悩みを過小視する傾向にあるようです。患者さんの相談相手や相談の効果を、家族はおおむね把握していますが、相談の程度については「多少は悩みを相談してくれたが、本当は他にも悩みがあるのでは」とあまり自信を持っていないようです。実際、女性患者の1割が「医療者との関係」が「最大の悩み」化している(別報告書)ことは、同じ女性の家族でもほとんど認識されていません。
 また、患者さんの悩みとは別に、「事実を知らせず患者と会話する苦痛」「告知是非」「治療方針や医療機関選択の迷い」など、「家族ならではの悩み」を7~8割が抱えています。家庭事情における家族間ストレスなど、人に言えぬ悩みも多いようです。この「家族ならではの悩み」を、誰かに打ち明ける人は4割でした。「相談したくてもできない」のではなく「相談したくない」という人が多いようです。相談相手は、「別の家族」と「友人・知人」が多いという結果でした。

1:悩みの把握

 患者さんが「がん」の告知を受けた直後の悩みを、家族は把握しているか。患者さん本人への質問と同じ選択肢から、想像で選んでもらった。

1:診断・治療 (治療法選択、手術や検査への不安など) 診療に関わること
2:医療者との関係 (医師や看護師とのコミュニケーションなど)
3:症状・副作用・後遺症 (症状や副作用、後遺症などの身体的苦痛)
4:不安など心の問題 (将来不安、死の意識、動揺・絶望感、抑うつなど) 診療に関わらないこと
5:生き方・生きがい・価値観 (人生観、外見変化ストレス、自分らしさ変化など)
6:就労・経済的負担 (医療費、収入減、仕事への影響、蓄えなど)
7:家族・周囲の人との関係 (周囲の反応、孤立感、家族との関係変化など)
8:その他 (その他)  

(※クリックで拡大します)

【告知直後】 患者さん本人回答と極めて近い結果が得られた。つまり、「家族は、患者さんの悩みを把握している」と言える。(なお、当時を振り返っての回答が合致しているとは言えるが、リアルタイム把握していたとは限らない。)
ただし「不安など心の問題」や「生き方・生きがい」面の悩みを実態よりも過大視している。家族が想像するよりも患者さんは最初は「診断・治療」面で悩むことが多い。


(※クリックで拡大します)

【現在】 「通院中」群と「治療終了」群とで分けて集計した。
患者さんが「通院中」の家族回答者からは、【告知直後】と同じく、患者さん本人の回答内容と近いバランスが得られた。「家族は、患者さんの悩みを、おおむね把握している」と言える。なお「不安など心の問題」がやや過大に想像され、逆に「就労・経済的負担」の悩みは過小に想像されている。
一方で、患者さんが「治療終了」した家族回答者は、おおむね過大に悩みを想像していた。ただし「その他」は極めて過小に見積もられていた(患者さん本人は、「その他」の悩みが、男女ともにとても多かった)。

2:最大の悩みの把握

前問と同じ選択肢から、患者さんの「最大」の悩みがどれであると家族が想像しているか、聞いた。


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【告知直後】 これは、前問ほど近似していなかった。特に、「就労・経済的負担」がそれほど大きい悩みだったとは、家族は認識できていない。また「不安など心の問題」を実態より過大視し、「診断・治療」の悩みを過小視することが分かる。


(※クリックで拡大します)

【現在】 「通院中」の患者さんの家族に関しては、「症状・副作用・後遺症」で最も悩む人が大幅増加する点は実態(患者さん本人回答状況)とのかい離がないが、「診断・治療」や「医療者との関係」「就労・経済的負担」が過小に想像されている点と、「不安など心の問題」が過大に想像されている点が、実態と異なる。特に、女性患者さんの1割が「医療者との関係」に最も悩む(別報告書)点は、「家族が伺い知れぬ悩み」化してしまっている。また経済面の悩みについても、なかなか家族に打ち明けにくいのだろう。
なお、「治療終了」した患者さんの家族群では、「その他」が強く過小想像されていた。

3:悩みの相談の把握

どの程度、患者さんが悩みを相談していると思うか、を聞いた。


(※クリックで拡大します)

【告知直後】 悩みの「相談度合い」については、家族の想像は、実態よりもやや控え目だ。特に「多少は悩みを相談してくれたが、本当は他にも悩みがあるのでは」と中庸に考える率が高く、頼りにされていると自信を持つ人は少ない。特に30代は、「患者さんがあまり相談してくれない」と思う率が高い。これは30代が、自分が患者さん本人の側になった時にはあれこれ多岐に悩む傾向があるため(別報告書)、「もっと悩みがあるはずだろうに…」と想像するのかもしれない。


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【現在】 「通院中」の患者さんの家族の回答のみを集計したところ、悩みの相談具合は、患者さん本人回答と家族想像回答とで異なる傾向を示した。すなわち、家族は自分達を過大評価してしまっていた。
年代別の集計は、前者が患者さんの年齢、後者は家族の年齢であるため、直接の比較はできないものの、相談する層(「充分」と「まあまあ」)は、患者さんは若い人ほど多いが、家族では逆に年代が高い人ほど多い傾向を示している。つまり、年代が高まるほど「実態(患者さんの回答)」と「家族の想像」とのかい離が広がることが分かった。

4:家族ならではの悩み

「患者さんが持つ悩み」とは別に、「家族ならではの悩み」が、現在または過去にあるかを聞いた。


(※クリックで拡大します)

どのセグメントでも7-8割が、そうした悩みを抱えていた/いることが分かった。
その具体的内容は、「事実を知らせず患者と会話する苦痛」「告知の是非への迷い」「治療方針選択や医療機関変更の迷い」などが多いが、「早く死んで欲しいと願ってしまうことへの罪悪感」や各家庭事情における家族間ストレスなど、いかにも人に言えぬ悩みも多い。

がんがわかるWEB大賞

ノミネート期間:2010年9月9日~9月23日 
■投票期間: 2010年10月1日~10月30日
■開催ページ: http://www.qlife.jp/award/
■主催: QLife

記事一覧:がんの悩み「患者本人/患者家族/近親経験者/未経験者」比較調査

  1. がん患者さん「本人」の闘病段階別「悩み内容」「悩み方」
  2. がん患者さん「家族」の「患者の悩み理解」と「家族ならではの悩み」 «
  3. 「家族にがん経験ない人」層の心の備え

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