専門医に聞く、大腸がん検査の実際

[いま、増え続けている「大腸がん」を知ろう!] 2009/02/27[金]
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 これまで大腸がんの概要と、発見のための内視鏡検査の現状について書いてきましたが、実際の治療現場ではどういった状況なのでしょうか。今回、東京女子医科大学附属成人医学センターで日々診療にあたっていらっしゃる、田中純子先生にお話を聞くことができました。

【田中純子 先生 プロフィール】

昭和63年 東京女子医科大学 卒業
平成 4年 東京女子医科大学大学院 卒業
平成 8年 東京都臨床医学総合研究所 研究員
現 在 東京女子医科大学附属 成人医学センター 講師


QLife:本日はお忙しい中、お時間いただきありがとうございます。さっそくですが、大腸がんの患者さんが来院されるときの状況は、どのようなケースが多いでしょうか?
田中先生(以下先生):そうですね、実感としてはやはり、大腸がん自体がなかなか発見されにくい部分があるので、ある程度進行してしまっているケースが多いですね。

QLife:発見されにくい…その部分について、もう少し教えてくださいますか。
先生:自覚症状の分かりにくさという部分もあると思いますが、内視鏡検査を受けたくないと思っていらっしゃる方もとても多いと感じます。たとえば健康診断などで便潜血(べんせんけつ)検査を受けて陽性になったとしても内視鏡検査を受けたくないため、結果的に放置してしまう…というケースをよく聞きます。

QLife:そうなんですか。検査が敬遠される原因は何だと思いますか。
先生:CTスキャンなどと違って、実際に内視鏡を体の中に入れますから、その際のわずらわしさ、恥ずかしさ…そういったところだと思います。でも、内視鏡検査のメリットは確実にありますので、資料をお見せしながら丁寧に説明すれば、たいていの方はご納得いただけますね。

QLife:なるほど。では大腸内視鏡検査のメリットについて教えていただけますか。
先生:やはり、第一は実際に大腸内を直接見ることができる、という確実性ですね。便潜血検査では発見されない種類のがんもあるのです。また別の検査法として、バリウムを大腸の中に入れ、腸の形を映して見る検査もあるのですが、大腸の粘膜自体を直接見ているわけではないので、どうしてもがんを見逃す可能性があります。内視鏡で直接見れば、見逃すことはまずありません。

QLife:便潜血検査で陰性でも安心できない…ということでしょうか?
先生:正確に言えば、内視鏡検査では発見できて切除できるがんの中に、便潜血検査では陰性で発見されないものが一部あるということです。ですから定期検査で「異常なし」の方でも、時々内視鏡検査をされた方がよいと思います。

QLife:便潜血検査は万全ではないのですね。ところで今、検査で「切除できる」いうお話がありましたが、それも大腸内視鏡検査のメリットですよね。
先生:そうですね。内視鏡で大腸内の粘膜の形や色を見て、異常のあるもの…具体的にはポリープですけれども、取れるものは切除できます。もちろん悪性になる前のポリープもありますが、予防ということで切除しておく場合もあります。検査時に処置ができるのも大きなメリットですね。

QLife:リープは…人によるのでしょうが、数が多いケースもあるのですか?
先生:体質的な要因かもしれませんが、数の多い方はいらっしゃいますね。実際、毎年検査して取る方もいらっしゃいます。こういうことも、大腸内視鏡検査でないとできないことですね。

QLife:そのような大腸内視鏡検査のメリットがわかれば、確かに納得して受けやすいですね。他に、検査について知っておいて欲しいポイントがあったらお願いします。
先生:検査を敬遠しがちな原因として、「わずらわしい」とか「恥ずかしい」とお思いの方が多いと申しましたが、以前は確かに準備に時間がかかったり、内視鏡挿入中に痛むケースもありました。でも最近は検査法が進歩しています。第一に内視鏡を入れる時の手技が進歩して、腸管内に当たらないように入れる手技が出てきています。それでもなお痛みが出そうな、腸が癒着(ゆちゃく)しているような方の場合でも、鎮静薬などを投与しますので、ほとんどの方は痛みを感じることなく検査に臨んでいただけます。

QLife:なるほど、それは安心できる情報ですね。事前に飲む下剤についてはいかがですか。
先生:こちらについても、従来は確かに2リットルの液体を持続的に飲まなければならず、しかも味覚的にあまりおいしくない下剤が主流でしたが、最近は多様になってきています。スポーツドリンクのような味の下剤もありますし、前日からゆっくり無理せず飲めるものもあります。さらに液体ではなくて錠剤タイプの下剤もあります。錠剤タイプですと他の下剤と違って、水だけでなく普通にお茶や紅茶で飲むことができます。体調や既往症など状況によって、すべての方が選べるというわけではないのですが、錠剤タイプはこれまでの下剤に比べかなり楽だと思いますよ。

QLife:なるほど、本当に進歩していますね。私自身も検査のイメージが変わりました。何か、とんでもなく大変で痛いのではないかと思っていました(笑)。最後に、特に読者へのメッセージはございますか?
先生:来院される方を見ていますと、大腸がん患者さんの低年齢化が進んでいることを感じます。統計でもその傾向は示されていますが、私達の日々の診療からは、それ以上のペースで…という印象を抱いています。一般的には40代前後からさまざまながんの発生率が上がってくるので、がん対策はそのあたりから…と思っていらっしゃる方も多いでしょうが、私は対策は早ければ早いほど良いと思っています。年齢にかかわらず若い方でもぜひ一度大腸内視鏡検査を受けてみて欲しいですね。

いま、増え続けている「大腸がん」を知ろう!
 1.近年、目立って死亡率が上昇している「大腸がん」
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