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[患者さんの相談事例] 2014/12/19[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

金額の説明なかった差額ベッド代と、やり直しが必要だったギプス代。費用を支払うのに納得できません。(60歳代・男性)

 3日前の夜10時ごろ、5歳の孫(男児)が階段から転落し、右腕を触っただけでも痛がって泣きました。もしかしたら骨折しているかもしれないと思い、ほかにも打撲が心配だったので、救急車を呼んで病院に搬送してもらいました。受け入れてくれる病院はすぐに見つかったのですが、病院に到着したら「当直している整形外科医はいないので、応急手当だけして、明日、整形外科医が診察します」と言われました。
 すぐに頭部のCT検査と腕のX線検査をしてもらえたのですが、脳に異常はなく、右腕はやはり骨折していると診断されました。そこで、右腕は簡単な固定がされ、痛み止めの薬が出されて、その夜は入院することになりました。その段階で私は付き添いを娘(孫の母親)に任せて、いったん帰宅しました。
 ところがその後におこなわれた入院手続きの際、娘が付き添うこと、孫が痛みを訴えて泣く可能性があることから、個室に入るように促され、半ば強制的に同意書にサインをさせられたというのです。差額ベッド料の金額については、何の説明も受けていないとのことでした。
 翌日、心配だった私は、診察開始とともに整形外科医が孫を診てくれるのだろうと期待して、朝一番に病院に行ったのですが、診察室に呼ばれたのは午前11時を過ぎてからでした。再度、骨折していることの確認があり、ギプスが装着されました。そして「今後の経過観察は整形外科クリニックで」と紹介状を渡され、退院となりました。てっきり必要な検査データもつけてくれると思っていたのに出してくれず、結局、クリニックに行くと再度X線検査を受けることになりました。さらに、ギプスの固定状態が悪いとわかり、クリニックでギプスを装着し直すことになったのです。
 まだ入院費を支払っていなかったので、私が病院に行き、「あらかじめ費用の説明もなく差額ベッド料を請求するのはおかしいではないか。それにきちんと固定されていなかったギプス装着の費用を支払うことも納得がいかない」と伝えました。しかし、対応した医事課の担当者から、「私では判断できないので、責任者と話し合っていただくことになると思います。こちらからご連絡しますので、しばらくお待ちください」と言われ、支払いはせず帰ってきました。今日、病院から連絡があり、明日話し合いをすることになっています。どう交渉すればいいのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 まず差額ベッド料ですが、母親の付き添いや子どもの泣き声が理由で個室を利用するとなると、同意書の提出があれば支払いの対象になります。もちろん、事前に金額や必要性について懇切、丁寧な説明が必要とされていますが、これは「説明をした」「聞いていない」の水掛け論になりがちです。金額は同意書に明示してあれば、サインした以上は把握していたと見なされてしまうのです。それだけに、同意書は、きちんと内容を確認したうえで、納得してサインすることが大切です。
 ただ、ギプスの装着の不備については、病院側がそれを認めるか否かで対応は異なってくると思います。まずはクリニックで装着の不備があると言われ、やり直したことを伝え、話し合ってみてはいかがでしょうか。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 夜間、救急搬送で入院になった場合の差額ベッド料は、患者側も落ち着いた状況で判断できないので、事前の説明や同意書の提出を巡ってトラブルに発展しがちです。患者側が「強制的にサインさせられた」と感じない対応が求められると思います。
 患者側が「納得いかないから支払いたくない」と申し出てきた際、医療機関はどうしても説得したり、強く出たりしがちです。でも、まずは何に納得がいかないのか、患者側の言い分や思いに十分耳を傾け、受け止めたうえで話し合う態度を示せば、患者側も冷静さを取り戻して向き合えるのではないかと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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