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[患者さんの相談事例] 2015/01/23[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

キャンセルしたら二度と診ないと言われて受けた放射線治療後、治療による影響が。治療を受けたことを後悔しています。(57歳・男性)

 人間ドックのオプションで受けた検査で、「PSAの値が4.3だったので、前立腺がんの可能性があります」と言われました。一般的にはPSAの値が4を超えると、前立腺がんの精密検査を受けるように勧められるのだそうです。そこで、大きな病院の泌尿器科を受診し、人間ドックの結果を見せて相談しました。MRI検査と前立腺の組織を採って調べる検査を受けたところ、1.5センチのがんが見つかりました。
 私はがんと診断されて以来不安で、インターネットでさまざまな情報を調べました。その結果、手術ではなく、ブラキセラピーという放射線の小線源治療を受けようと決意し、ブラキセラピーをたくさんおこなっている大学病院に転院しました。ところが、患者数が多くブラキセラピーは4か月待ちの状態。いったん予約を入れたものの、4か月待つことが心配で、何軒もセカンドオピニオンを受けました。しかし「その病院でブラキセラピーを受けるなら間違いないでしょう」とか「前立腺がんは進行が遅いのでだいじょうぶですよ」とドクターたちは口を揃えたように楽観的な意見なのです。本気になって私の治療を少しでも早く始めようと言ってくれるドクターとは出会えませんでした。
 そうこうしているうちに、ブラキセラピーを受けると勃起障害が起きるという情報のほうが気になってきました。私はまだ独身なので、治療を受けたら自分の子どもを授かることは不可能になるのではないかと思い始めたのです。そこで大学病院のドクターに「治療をキャンセルしようか迷っている」というメールを送ったところ、「キャンセルなら、今後二度とあなたの治療はしません」という返事が届きました。確かな技術を持ったドクターに見放されるのが怖く、結局キャンセルせずにブラキセラピーを受けました。治療はうまくいったのですが、半年ほど経つと勃起不全になってしまったのです。治療前にドクターから直接、リスクとして説明は受けていましたが、実際に起きるとショックで、いまは治療を受けたことを後悔しています。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 たしかに自己決定は難しいものです。とくに複数の選択肢があり、優劣つけがたい場合、一つを選ぶのは勇気を要します。さらに、合併症などマイナスの事態は、たとえ可能性が低くても、生じればその人にとっては100%の発生率になります。
 ご自分に起きた事実として受け入れるのに時間がかかるかもしれませんが、まずは思いを吐き出してみてください。人に話すことによって、気持ちの整理ができたり、軽くなったりすることもあります。まずはそこから始めてみてはいかがでしょうか。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 治療方法の選択を巡って、患者はいったん決めたあとでも、気持ちが揺らぎがちです。そんなとき、いきなり「治療を受けないなら、今後二度と診ない」などと言われると、患者は追いつめられてしまいます。そのような状況のなか選択した内容で、後々マイナスのことが生じると、それが受け入れられなくなるのも仕方ありません。揺れる気持ちを吐露されたなら、まずは気持ちを受け止め、一緒に考える姿勢を示していただきたいものです。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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