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[患者さんの相談事例] 2015/08/28[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

病院側の都合で延期された心臓手術。その後、手術日程は決まらず、謝罪もありません。(68歳・男性)

 3年前の人間ドックで心臓の弁の動きが悪いと指摘され、それ以来、ある病院の循環器科を定期的に受診してきました。指摘された当初は、まったく症状がなかったのですが、3か月前あたりから胸に痛みを感じるようになり、予定外に受診したところ、「症状が出始めたのなら治療を急がないといけないこともあるので、まずは検査入院しましょう」と言われました。そして、入院して精密検査を受けた結果、大動脈弁狭窄症で手術が必要と診断されたのです。
 それまで診てもらっていたのは循環器内科医なのですが、「当院には腕のいい心臓血管外科医がいるから安心してください」と言われました。また、検査入院中に同室になった患者さんからも「同じ先生から手術を受ける予定。あの先生は遠く離れた他県からも手術を受けに来る患者さんが大勢いる有名な方なので、たまたま担当になってもらったなんてラッキーですよ」と言われ、私はすっかり安心していました。
 その後、心臓血管外科医の診察を受けたのですが、とても詳しく丁寧な説明で、手術を受ける決意が固まりました。すぐに手術予定日も決まり、それからは順調に必要な検査のスケジュールをこなしていました。そして、手術予定日の3日前に入院し、家族への術前の説明も済ませた手術前日、最終確認のため口からカメラを入れて食道から心臓を見るエコー検査がおこなわれました。ところが、そのとき肺にカゲが見つかったのです。私は以前、肺炎を起こしたことがあるので、そのときのものではないかと言ったのですが、「はっきりと何かわかるまでは手術はできません」と言われ、翌日の手術は延期になってしまいました。
 その後、カゲはやはり肺炎の痕で問題ないということになり、新たに手術予定日を決めたのですが、ちょうど5月の連休に入る直前だったので、改めて決まった手術日は5月中旬でした。それまでは1週間ごとに通院、検査をして経過観察することになりました。
 ところが、連休明けに受診したところ、心臓血管外科医が非常に困惑した表情で「大変申し訳ないのですが、経営上の問題で当院での心臓血管外科の手術を取りやめることになったのです。そのため、あなたには私が他県でアルバイトをしている病院で手術を受けてもらうか、まったく別の病院を紹介するか、私が独自に病院を立ちあげるのを待ってもらうかの3択のなかから選んでいただきたいのです」と言われました。私が「そんな・・・。前回の受診のときには何もおっしゃっていなかったじゃないですか」と言うと、「連休に私が出張している間に決まってしまったことで・・・」と何か事情があるのか、奥歯にモノが挟まった様子なのです。
 それから1か月以上経つのですが、いまだにどこで、いつ手術をしてもらえるのか決まっていません。この間に症状が進んで何か起きたらだれが責任を取ってくれるのでしょうか。それに、病院からは何の説明もお詫びもないのです。あまりにも無責任な病院の対応に腹が立って仕方ありません。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 手術が必要な心臓の状態と言われながら、手術日が決まらないというのは、何とも不安な日々だと思います。たとえ病院が心臓血管外科の手術をやめる方針になったとしても、なぜ既に手術が決まっていた患者の手術を実施しないのか、病院としての見解を求めることは可能だと思います。
 また、執刀予定だったドクターとは、少しでも早く手術ができる方法について、よく話し合われることが急務です。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 病院の方針で心臓血管外科の手術を廃止することになったとしても、既に手術が予定されている患者に対しては手術を実施する責任があると思います。もしそれができない事情が病院としてあるのならば、きちんと組織として患者に説明し、別の医療機関で安心して手術を受けられる体制整備をするのが当然ではないでしょうか。あまりにも無責任な対応に、患者さんが気の毒でなりませんでした。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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