[職場のうつ] 2009/08/04[火]

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「職場の偏見」度合いは、打ち明けるか否かに影響あるのか?

 職場にうつ病偏見がある場合(または、職場に偏見を感じている患者の場合)は、病気を隠しがちだろうか。「職場に偏見があると思うか」回答群別に、前問、前々問への回答パターンを確認した。
 まず、「上司や人事への打ち明け」は、「偏見の有無」に関係がなさそうだ。

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 一方で「同僚への公言」については、「上司や人事に打ち明け」に比べると、多少の相関が見られる。とはいえ、あまり大きな差とはいえない。「まったく偏見がない」職場であっても、46%しか公言はできない。

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 つまり、「仮に、職場での理解度がもっと向上したとしても、なかなか患者は、職場にうつ病を打ち明けにくいもの」であるといえる。

いざ病気になると、告白/相談派が増える

  “友人”“上司や人事”“同僚”という3者に対する“打ち明け行為”について、「症状未経験者」と「治療経験者」との傾向差を確認した。擬似的に、予想と現実を見ることができる。
 全体観でいうと、いざ病気になると、病気になる前の予想と比べて「完全秘密派」は減る。逆に増えるのは、「同僚には公言しないが、友人や上司には相談する」派だ。この傾向は性別にかかわらず同じであった。

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同僚に公言したケースの3割が、「理解してくれた」

 通院治療経験者で、かつ「うつ病になったとき、【職場内の同僚に、公言】した」人に対して、公言した際の周囲の反応を確認した。
 少なくとも29%のケースでは「理解を示してくれた」と良い反応を得ており、これは「理解されなかった」13%の2倍以上。ただし「理解されなかった」に「驚かれた」も加えると同じく29%となる。つまり少なくとも29%のケースでは、罹患の事実自体が「同僚からは予想外の告白」だった様子が伺える。

Q.【職場内の同僚に公言】して、周囲の人はどんな反応でしたか。

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7割が「職場に公言して、良かった」

 通院治療経験者で、かつ「うつ病になったとき、【同僚に公言】した」人に対して、結果を総合判断してもらった。
 結果的に「良かった」とした人が71%と多勢を占め、「良くなかった」11%と比べて大差がついた。うつ病の患者にとっては勇気づけられる数字だ。(ただ、この結果から即座に「打ち明ければ、71%確率で良い結果を生む」とまでは言えない。「打ち明けた」人には、もともと「良い結果を予想できたから打ち明けた」人が多く含まれる可能性があるからだ。現在打ち明けられずにいる患者が打ち明けたら悪い結果になる可能性もある。)
 なお「良かった」具体的理由を見ると、概ね次の系統に分類できる。すなわち「仕事量・責任が減った」「休みやすくなった」「病気を隠す気苦労が減った」「周囲が理解してくれた」の4系統。なお、少数だが「突然倒れるなどして、迷惑をかけないですんだ」と、病気になってなお職場本位の視点で語る人もいた。

Q.【職場内の同僚に公言】して、総合的には良かったですか悪かったですか。

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