衝撃!東京都の女性のがん死亡率全国ワースト5位

[イベント調査隊が行く] 2008/07/25[金]
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2008年7月13日 東京都女性がんシンポジウムレポート
poster0713.jpg昨今「がんは治る」病気だと言われています。しかし、実際「死」の病では無くなったかもしれませんが、手術の後、抗がん剤や手術の後遺症に苦しむ患者が多くいます。
「死なないが、苦しむ病」となったがんを克服する為に今やらなければいけないこと…それは「検診にいくことで早期発見し、苦しまなければいけなくなる前に治すこと」
ではないでしょうか?


img_4372.jpgがん患者の実情を知ることで、改めて早期発見の重要性を知り、医療供給者、医療需要者、そして行政が一同に介したこのシンポジウムに将来への期待をつのらせました。乳がん患者団体であるNPO法人ブーゲンビリアの挑戦は、参加者に十分そのことを伝えることに成功したイベントと言えるでしょう。

今回のシンポジウムを聴講し、大きな成果だと感じたことは「医療供給者と医療需要者との認識の大きな溝を確認し、この溝が埋るターニングポイントに立ち会えた」ことでしょう。
患者体験談発表、医師による疾患解説、パネルディスカッションの3部構成でそれぞれの立場の苦悩、思いが伝わった後で、前向きな方向性を提示した内容となっていました。

『命の活動』を一人から二人と増えていくきっかけにしたい

内田絵子さん(NPO法人ブーゲンビリア代表)は、今回のシンポジウムの冒頭で、以下のように挨拶されました。
彼女は、東京都がん対策推進協議会にて、患者の声を届けるべく、協議会メンバーの一員として取り組まれましたが、残念なことに、都の取り組みの中には、予防、検診、治療についての一貫した具体的目標や施策が示されませんでした。
今回、患者会、医療従事者、行政が一同に会したシンポジウムを開催することで、東京都の現状の理解と、少なくとも現状の取り組みが実現されるよう、今日参加された方々から『命の活動』を広げてほしいとの挨拶でした。

<患者体験談>
img_4391.jpg

ガイドラインを買いましょう

患者体験談の冒頭を飾った片木さん(卵巣がん体験者の会スマイリー)は世間に溢れる情報をどう整理するかを語られていました。

  • ネット情報:信用レベル10点
    基準が全くない。評価システムもなく、正しい情報、正しくない情報が氾濫している
  • 患者同士の情報:信用レベル50点
    話半分で。その人がしてきた治療が全て当てはまる訳ではない。あくまで参考程度に。
  • 医療者からの情報:信用レベル?
    先生による。

薦めるのは「ガイドラインを買いましょう」
わからないことだらけですが、わからない事は医師に聞きましょう。応えてくれるかくれないかで医師の判断が可能になります。

慌てなくていい

中澤さん(イデアフォー)の発表は氾濫する情報の「快」についてでした。
『乳がんかなと思っても「怖いから行かない」人が多い』
『実際に悪くなってからになると(早く病院へ行かなかった自分が悪い)と自身を責める人が多い』
情報が溢れている世の中にあって、しかし患者が十分選択できるだけの情報を目の前の医師から得られないこと、「乳がん=乳房喪失」などの誤った情報氾濫によって、正しい判断ができなくなっている現状を指摘されていました。

健診に必ず行ってほしい 自分の大切な人には必ず薦めてほしい

河村さん(NPO法人女性特有のガンのサポートグループオレンジティ)は実際子宮がんの術後後遺症に悩まされている実情を吐露されました。32歳で子宮を全摘した彼女に起きた後遺症は何なのか

  • 排尿排便障害(リンパ節のかくせいによって起こる合併症):尿意が無いため、尿漏れを防ぐ為に定時にトイレにいかれるそうです。
  • 更年期障害が32歳でおきた
  • 性交障害が起きる

20代~30代に罹患する子宮頸がんは、がんの進行状況によっては、何十年も術後後遺症に悩まされることになります。

私たちを生かして欲しい

小倉さん(あけぼの会)は、現在脳以外全身にがんが転移している方です。34歳のときに乳がんになり、乳房のみならず、筋肉も腋下も全て摘出する手術をされました。
講演の中、彼女のアグレッシブさには本当に驚き、勇気付けられました。
シングルマザーでがんばっている女性へのミッションだと言っていましたが、全身転移した体にも関わらず、仕事を一日も休んだことがないそうです。
彼女が今服薬している薬は、日本国内で開発されたにも関わらず、日本で承認されず、海外で発売されたというものだそうです。「ドラッグラグ」と言われますが、国内の承認の遅れが「治療の遅れ=死」を生んでいる現状も浮き彫りにされました。

とにかく検診に行って欲しい

安田さん(NPO法人ブーゲンビリア)は施設選びにインターネットの患者体験記を使われたとのことです。手術は成功したが、『がん=死』のイメージが強い為、お子様の理解に時間がかかったとのお話でした。そうした情報の氾濫も誤解を生む要因なのでしょう。

<医師による疾患解説>

乳腺のしこりには良性のものもある。まずは医療機関で確かめてほしい

東京慈恵医大 吉田先生
生涯のうち男性は2分の1、女性は3分の1はがんを患います。その中で、乳がんは働き盛りの40歳代50歳代に罹患者の半分を占め、増加傾向にあり、大腸がんは女性の死亡原因のトップを占めているとの解説でした。

では、どうして乳がん、大腸がんが増えているのか

たばこ
食べ物
ウイルス

などが原因とされます
環境因子(生活スタイルの欧米化)に起因することが多いが、現在生活スタイルを過去に戻すことは不可能です。なので、早期発見が必要と説いていました。

HPVウイルスの誤情報が独り歩きされる事への懸念

東京慈恵医大 磯西先生
年間7,000人の女性が「子宮頸がん」と診断され、2,500人の方が毎年亡くなっているそうです。しかも子宮頸がんの罹患は20歳前後との衝撃的解説からスタートされました。

HPVウイルスについて

  • HPV感染は病気ではありません
  • 高度(中等度)異形成以上を病気として扱います
  • HPVはほとんどの人によって一過性の感染であり、病気を発生させません
  • HPVの一時的感染はノーマルです(風邪)
  • 子宮頸がんはありふれたHPV感染の非常にまれな合併症です

子宮頸がんワクチンについての正しい知識

子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんの原因として最も高頻度に検出されるHPV16型と18型の感染及び持続感染による前癌病変への移行を予防するワクチンです。

東京都の今後に期待!皆さんで一緒にやりましょう!

都立駒込病院 佐々木院長
国が認定する、都道府県がん診療連携拠点施設の東京都の拠点である東京都立駒込病院の院長である佐々木先生は、現在東京都に置かれる課題、今後実施される事項を丁寧に説明されていました。
2007年4月にがん基本対策法が成立したことから、がん患者の意向を取り入れ、国のがん対策推進基本計画がきめられました。重点的な取り組みとして医療従事者の育成、治療の初期段階からの緩和ケアの推進が挙げられております。
そうした中、まだ東京都は全国と比較して後進県であること、「地域がん登録」すらされておらず、他の都道府県と比較できないということでした。
今年東京都として、様々な取り組みを打ち出していますが、その中で注目されたことは、10箇所の「東京都認定がん診療施設」の認定でしょう。今後東京都のがん治療が施設ごとでなく、地域として連携を図り始める第1歩になる、また各施設の治療状況が明るみになる、と講演されていました。

「治療法がなくなりました。あと3ヶ月の命と思います」といわれる時代
佐々木院長の講演は次の話で締められていました。
患者の思いを医師は認識しなければいけない。

  • 患者がガイドラインを見る時代
    それは標準治療で治らないときに患者は自然と短い命を知る時代でもある。
  • 医師も苦しんでいる
    患者に悪いニュースを語るとき、医師の50%は負担を感じ、20%は辞めたいと思う。患者は「まだ生きていて役にたっている」と思えると、早く奈落から這い上がれる。「生きてさえいてくれればそれでいいんだ」という夫の言葉で這い上がれた患者もいる。
  • 医師の心が患者にきちんと届けなければいけない
    「大事にされている命だよ」「絶対に這い上がれるんだ。みんな、誰でも絶対に安らかになれる」

<パネルディスカッション>

行政はグランドデザインを

「待っている時間は無い。急いでもらわないと困る」
女性のがん(乳がん、子宮がん、卵巣がん)は働き盛りの女性に多い疾患です。
日本医療政策機構がん製作情報センター長の埴岡氏は「東京のオリンピックが開催される前に、この状況を打破する必要がある。都の検診の状況は酷すぎる」と語られていました。

東京都の女性がん-どこの病院にいけば病気を治してくれるのか。切実です。
東京都独自プランに「患者の心のサポートをしようとした」ことは評価できます。
しかし残念なことに、がん死亡率の削減戦略が一切盛り込まれていません。

img_4639.jpg日本医療政策機構の県別がん計画力スコアを見ると、東京は成績が悪いだけでなく、これからやっていこうとする計画も酷い状況との評価でした。
都民に募集したパブリックコメントも、隣の神奈川県は130あったが、東京都は30個しかありませんでした。こうしたことからも都民の関心の無さが浮き彫りになっています。
島根県の「がんサロン」の取り組みを紹介することで、東京都の取り組みが不十分であることは反省されるべきでしょう。

このシンポジウムの成果は、東京都のがん治療の状況が明るみになっただけでなく、初めて行政と民間のざっくばらんな討論がなされたことで、今後の展開を期待させるものでした。

最後に今回のNPO法人ブーゲンビリアのシンポジウムは様々な広がりをみせようとしています。
東京都では2008年8月10日に患者会4団体共催によるセミナーも催されるとの事。猛暑ではありますが、足を運んでは如何でしょうか?

問合せ先はNPO法人キャンサー・ネット・ジャパンのHPにございます。
URL:http://www.cancernet.jp/eve080810.html

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