変わりつつある…更年期のよりよい過ごし方について聞いてみました
更年期と聞くと、皆さんどのようなイメージをもたれるでしょう?
最近ではメノポーズ(英語で「閉経」)ともいわれ、言葉そのものは一般的に使われるようになったものの、この時期を迎えた方以外には関心が低いように思えます。
それは「体の変化に伴う辛い時期」というイメージがほとんどで、女性でもできれば考えたくないと思う人が多いからかもしれません。
生きていれば全ての女性に訪れる更年期、だからこそ少しでも自分らしく、元気に過ごしましょうという考えが、徐々に広まりつつあります。
それは多くの女性にとって共感が持てるものだと思います。
では現状はどうなのか、一番近い医療という現場からの話が聞きたく、とあるセミナーにお邪魔しました。
更年期は「心身ともに健康の曲がり角」
講演してくれたのは岡野先生。長年、産婦人科医としてたくさんの女性の声を聞き、更年期をよりよくするためにどうすべきかを考え、取り組まれてきた経験をお持ちです。
はじめに先生は更年期とは、女性の加齢の過程において、生殖期(妊娠可能な人生の時期)から非生殖期(妊娠不可能な人生の時期)への移行のことを指す、と教えてくれました。
また卵巣機能の低下、月経の停止、閉経、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量の低下(喪失)によって起こる、変化の時期だそうです。
症状は、肩こりや腰痛、手足のしびれ、頭痛や多汗、めまいや動機、頻尿、便秘、興奮しやすい、無気力、物忘れ、不眠など、まだまだ沢山あり、実に多種多様です。
また女性ホルモンの欠乏によって影響を受ける部位は子宮だけではなく、脳や心臓、血管、皮膚、骨など実に200 種もの代謝に関与しており、すなわち、生殖機能の低下のみならず、様々な機能低下の始まりでもあるそうです。
つまり女性の体は閉経までの間、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)によって守られてきましたが、閉経期以降、エストロゲンの血中濃度が同年代の男性の1/3 以下にまで低下するとも言われており、体調の大きな変化を余儀なくされることを意味します。
こういった背景もあって更年期とは「心身ともに健康の曲がり角」であり、それは、女性が健康を見直したり、健康促進をしたり、病気の予防について考える機会だと仰っていました。
骨にも予防が必要
先生は更年期以降になりやすく、女性に多い病気の一つ、骨粗鬆症についてもお話してくれました。
骨粗鬆症とは、骨の強度が減少し、骨折の危険性が高まった状態の事を言うそうです。
骨折と聞いて、すぐに命の危険を感じる方は少ないかもしれませんが、実は骨折する箇所(部位)によっては非常に危険です。
背骨が骨折し潰れると背中が丸まったり著しい身長低下がおこり、内臓を圧迫する、また大腿骨(太もも)の骨折は寝たきりの原因となるばかりではなく、その後の死亡率が有意に上昇するとの事です。
骨粗鬆症による骨折は重要な死因であり、この原因には先ほど出てきた女性ホルモンの低下の影響が大きく、実際骨折の男女比を見ると女性が数倍高いそうです。
また骨は盛んに代謝を繰り返し作ったり壊したりしている器官で、骨粗鬆症は骨を作る方が骨を溶かす方に追いつかなくなり、バランスが崩れた状態ともいえるのだそうです。
こういったことからQOL(生活の質)を著しく低くするものとして予防のための検診や早期の治療を推進するための動きが世界的にも広まってきている現状があるようです。
ここでなぜ女性はこれだけ、心身にとって不利益な「閉経」を迎えなければいけないのか疑問を感じますが、それに対してはこのような答えをくれました。
昔は今以上に女性にとって妊娠とは命を掛けて行うことであり、その期間が長ければそれだけリスクが高かったため、身体に対して「閉経」を設定しなければいけなかったのではないか、といわれているそうです。
そしてその過程で、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量低下による大きな変化があるため、心身ともにそれに対応しなければいけない現実が女性にはあります。
しかし、その状況をただ受け入れるのではなく、きちんと正しい情報を知ることや検診で自分の心身の状態を把握することが重要だと仰っていました。
なぜなら以前に比べ最近では更年期を迎える女性にとっての予防法や治療法が増えつつあるそうです。
それは更年期を迎えた女性の声にもっと応えたいという医療現場からの動きであり、例えばホルモン補充療法はその中のひとつです。
これはそれまで体内で様々な役割を担っていた女性ホルモンの閉経後の急激な減少に対し、少しでも補充しましょうというもので、国内初の治療ガイドラインが作られるなど、より安全で個人の状態に合わせた優しい治療を目指したものも出てきました。
こういったものを含め、現在は女性が自ら更年期のよりよい過ごし方を選べる環境が出来てきているそうです。
また先生は、「女性ホルモンの欠乏は200以上の生理作用に関わるため、更年期症状はひとそれぞれで異なり、種類も様々である、と述べた上で、少しでも体の異変を感じたら、まずは婦人科を受診してほしい。
なぜなら、そこで女性ホルモンの低下と無関係であることが判明すれば、その領域の専門医を紹介するなどの対応が可能であり、それは更年期のみならず他の病気の予防や早期発見・早期治療に繋がるものだからです。」と仰ってました。
なるほど・・・婦人科医は閉経期以降の女性にとって、プライマリードクター、つまり、どの診療科目で受診するかを相談できる『かかりつけ医』といえるかもしれませんね。
そして、早期の受診はより自分らしく、より人生を豊かに生きていくための環境づくりの第一歩になるので、少しでも早く医師に相談してほしいというメッセージを最後にいただきました。
先生ありがとうございました。
岡野浩哉 先生
飯田橋レディースクリニック 院長
群馬大学医学部、同大学医学部大学院卒。
群馬大学医学部附属病院 産婦人科、東京女子医科大学病院 産婦人科に勤務、助手、講師を歴任し、その間米国メイヨ・クリニックに留学などを経て現在、飯田橋レディースクリニック 院長としてご活躍中。
日本更年期医学会幹事・評議員、日本骨粗鬆症学会評議員など他多数在籍。
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