3割の薬剤師が患者の「ヒヤリハット事例」に遭遇~抗凝固療法患者とのコミュニケーションに関する薬剤師大規模調査の結果から
[選択肢が拡大する脳卒中予防の現在] 2014/06/23[月]
今回、QLifeでは公益財団法人 心臓血管研究所 所長 山下武志先生監修のもと、患者とともにチームとして抗凝固療法に携わる一員である薬剤師を対象にリサーチを実施。
医師や患者本人対象の調査では表に出なかった、患者の実態を調べました。その結果をご紹介します。
薬剤師によるコミュニケーションが、重大な事態を防ぐためのセーフティネットに
今回の調査から、約3割の薬剤師が患者の「ヒヤリハット事例」を見聞きするなど、抗凝固療法を行う患者にとって、薬剤師によるコミュニケーションが、重大な事態を防ぐためのセーフティネットとなっていることが分かりました。
「薬剤師が伝えたい」情報と「患者が知りたい」情報に若干のギャップ
薬剤師と患者のコミュニケーションについては、双方ともに「抗凝固療法下の生活上の注意点(飲み合わせ、食べ合わせ、他科受診時の注意点)」「抗凝固療法の副作用」が多く挙がっており、患者からの質問・相談も、前者では納豆や青汁などのビタミンKを多く含む食物、後者では出血時や他科受診に関するものが多かったが、新規経口抗凝固薬を服薬している患者からも「納豆は食べて大丈夫か」などの質問が挙がるなど、「新旧の抗凝固薬の生活上の注意点などを知らない(覚えていない)ケースも多く見られました。また、「新旧の抗凝固薬のメリット・デメリット」については、患者と薬剤師の間でコミュニケーションギャップが見られました。
医師・薬剤師・患者間のコミュニケーションをより活発に進める必要がある
今回の結果について、調査の監修を行った公益財団法人 心臓血管研究所 所長 山下武志先生は「予想以上に、抗凝固薬の服用について患者・薬剤師間で情報のやり取りがあり、それでもなお十分な情報共有に至っていないことがわかりました。生活上の注意、抗凝固薬の副作用については、情報量が多いため、おそらく一度の説明では患者に納得感や満足感が得られないことも多いだろうと推測します。新旧抗凝固薬のメリット・デメリットについては医師サイドから情報提供されるべきでしょう。また、薬剤師から見て医師側へもっと患者教育をしてほしいという希望も見られました。現在、抗凝固薬については情報が急拡大しており、医師・薬剤師・患者間のコミュニケーションをより活発に進める必要があることを教えた結果であるように感じます」とコメントしています。
⇒薬剤師対象抗凝固療法患者とのコミュニケーションに関する実態調査結果報告書
山下武志(やました・たけし)先生 公益財団法人 心臓血管研究所 所長
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