[がん治療で注目の栄養療法とは] 2014/06/27[金]

 日本人の2人に1人ががんになる時代です。誰もががん予防の魔法のような食事があればいいなあと思うはずです。残念ながら、現時点ではエビデンス(科学的根拠)のある食事はありません。理論的には、発がんを抑制する栄養素はありますが、きちんとした実験や研究での確認はできていません。日頃から、野菜や果物を多くとるバランスのいい食事を心がけたいものです。

がんに奪われた栄養を補給することの意味

 それでもがんになってしまったら、どうすればいいのでしょうか。栄養は摂らない方がよい。栄養を与えたらがん細胞が元気になってしまうからというのは根拠もエビデンスもありません。確かにがんは栄養をエネルギーとしますが、がんに奪われた栄養を補給する事は、私たちががんに打ち勝つためには欠いてはいけません。エビデンスに基づいた標準治療が、がん治療の基本ですが、最近はがん治療を支える栄養療法が注目されています。それは、偏った栄養素だけを補うのではなく、三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)に、ビタミン、ミネラルを加えた5大栄養素に基づいた栄養療法です。健康な時には食卓の食事から摂取できている栄養素ばかりです。
 がん患者さんは、代謝異常により痩せていく人が多くいます。この状態をがん悪液質といいます。がん細胞は、人の体の筋肉や脂肪を分解して栄養源としているため、がん患者さんの体には大きな負担がかかっています。そのため、体重が減り筋肉量が減少し、体力が低下していく患者さんも多くいます。
 がん悪液質になると、歩行や移動が困難になったり、倦怠感により日常生活全般に影響がでることで、QOL(生活の質)が低下します。特に筋肉量が低下すると、がんの治療にも大きな影響がでてきます。例えば、手術に対する影響です。ばい菌を殺そうとしたり、傷を治すためのタンパク質が必要になります。これらすべてに必要なものが筋肉から供給されます。抗がん剤治療にも影響します。同じ量の抗がん剤を投与しても血中濃度があがることで、治療効果より毒性がまさり、副作用が強くでたりする可能性が考えられます。
 がんの栄養として、筋肉や脂肪が分解・吸収されたら、その分食事で補給しなければどんどん正常な細胞まで失われていまいますので、がん治療を適切に行うためにも筋肉量を減らさないことが重要です。

筋肉量を減らさないEPAの効果に期待~がん患者さんの上手なEPAの摂り方とは

神奈川県立がんセンター消化器外科部長 吉川貴己先生
神奈川県立がんセンター
消化器外科部長
吉川貴己先生

 では体重減少や筋肉量を減らさないためにはどうすればいいのでしょうか。青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸の1つであるEPAに効果があるという報告があります。EPAには、がんそのものの増殖を抑制したり、転移を抑制したりする可能性があります。また、ある程度がんが進行してくると、骨格筋を分解するPIFや脂肪を分解するLMFが、がんから放出されますが、EPAは、PIFやLMFを抑制することも知られており、骨格筋の分解や脂肪崩壊を抑制することも期待されています。
 「進行したすい臓がんの患者さんにEPAを摂ってもらう臨床試験では、1日2gのEPAにより体重減少や筋肉量の減少が抑えられる傾向にありました。EPAは蛋白の分解を制御し炎症を抑制します。また骨格筋のタンパク質の分解や脂肪崩壊を抑制することなどで体重減少を抑えています」と語るのは神奈川県立がんセンター消化器外科部長の吉川貴己先生です。

 では、EPAを効果的に摂るためにどうすればいいのでしょうか。1日2グラムのEPAを食事からとろうとすると、カジキマグロ15切れ(2キロ)、サバの切り身3切れ、サーモンの切り身3切れ、クロマグロ1ブロック(1キロ)、えび1キロ、イワシ200グラムのいずれかが必要になります。
 「がん治療を適切に継続するためにも筋肉量の維持は大切です。そのためには、十分なカロリーと同時にEPAをとるのがいいでしょう。ですが、いくらEPAがいいと思っても食事で必要量(1日2g)を摂ろうとすれば、かえってバランスの悪い食事になってしまいます。バランスのいい食事に、EPAが配合された栄養剤などを上手に組み合わせるのがいいと思います」(吉川貴己先生)。
 がん患者の栄養状態を保つために、全国の医療機関で食事に栄養補助飲料をプラスした栄養療法が進んでいます。がんに負けない体力を保つため、バランスのいい食事とともに必要な栄養素を上手に摂ってみてはいかがでしょうか。

吉川貴己先生 神奈川県立がんセンター消化器外科部長

平成元年横浜市立大学医学部卒業。
平成5年スウェーデン国ヨーテボリ大学外科代謝研究室研究員。
平成7年横浜市立大学大学院医学研究科卒業(外科学第一専攻、がんの代謝に関する論文で博士号取得)。
平成16年より神奈川県立がんセンター勤務。
平成24年より同消化器外科部長、横浜市立大学医学部臨床教授を兼務。
専門は消化器外科、特に胃がんの治療、周術期管理、がんの代謝。

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