[レストレスレッグス症候群とは] 2014/03/14[金]

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 夜眠ろうとベッドに入ったときや、新幹線や飛行機、あるいは映画館などでじっと座っているときに、脚の内側から不快感がおこり、脚を動かすと症状が和らぐ……それは「レストレスレッグス症候群」という病気かもしれません。レストレスレッグス症候群は「下肢静止不能症候群」「むずむず脚症候群」という名前で呼ばれることもあります。

 レストレスレッグス症候群は、国内に推定200万人いるといわれ、決して珍しい病気ではありません。脚の感覚と動きの障害であり、症状の感じ方は患者さん一人ひとりで大きく異なります。患者さんの感じ方がさまざまなので、医師が患者さんから症状の特徴を細かく聞くことによって診断します。

レストレスレッグス症候群の症状例

4つの特徴的な自覚症状

レストレスレッグス症候群でみられる4つの特徴的な自覚症状

 レストレスレッグス症候群の症状には4つの特徴があります。夕方から夜間に症状が強まり、また安静にしているときに症状がみられることから、夜、寝ようとしてベッドに横になったときに患者さんはその症状をよく自覚します。

 症状が気になって眠れない、睡眠中も身体が動いて眠りが浅くなるなど、睡眠が妨げられます。また寝ているときに脚が動いている(周期的なピクつくような動きがある)ことに家族が気付くこともあります。

 レストレスレッグス症候群では、単に夜眠れないだけでなく、睡眠不足によって疲れやすくなる、いらいらしやすくなるなど、日常生活にも悪影響がみられます。レストレスレッグス症候群の症状は、軽度では夜間だけに現れますが、重症になると昼間安静にしているときにも現れることもあります。また症状が脚から腕や全身に広がることもあります。

 「会議中に脚を動かしたくてたまらなくなり集中できない」、「映画観賞中にどうしてもじっとしていられず前の椅子を蹴ってしまう」、「新幹線や飛行機などの長時間の移動が我慢できない」など、日常生活のさまざまな場面で影響がみられます。

レストレスレッグス症候群の原因と紛らわしい疾患

 レストレスレッグス症候群の原因は、はっきりとはわかっていませんが、神経どうしの連絡役となる「ドパミン」がうまく働かなくなることによって症状が現れると考えられています。このためドパミンを作る際に必要となる鉄分が不足すると、症状が出やすくなります。

 一方、レストレスレッグス症候群は他の病気などが原因で発症することがあり、妊娠中の女性や、慢性腎不全(透析中)、糖尿病、関節リウマチの患者さんにも多くみられます。また、末梢神経障害や脊髄の疾患など、レストレスレッグス症候群と似た症状が現れる病気もあるため、正しい診断が重要です。

レストレスレッグス症候群の治療法

レストレスレッグス症候群の症状を軽くするための生活習慣の改善例

 レストレスレッグス症候群の治療法は、「非薬物療法」と「薬物療法」に分けられます。症状が軽い場合には、生活習慣の改善だけでも症状が良くなることがあります。

 具体的な非薬物療法としては、発症原因の1つとして考えられている鉄分不足を補うために、鉄分の補給量を増やすことが挙げられます。また、レストレスレッグス症候群の症状を悪化させると考えられている喫煙、飲酒、カフェインの摂取を控え、食事、運動、睡眠など規則正しい生活を送るように心がけることも大切です。脚を動かしたりマッサージをしたりすること、冷やしたりすることで治まることもあります。

 他の病気やお薬が原因で発症したレストレスレッグス症候群の場合は、原因となる病気を治療したり、お薬を調節したりすることで、症状が和らぐこともあります。

 症状が重い場合や、生活習慣の改善を行っても症状が治まらない場合には薬物療法を行います。現在、お薬は数種類あり、短時間だけ効くもの、1日中効果が持続するものなど、それぞれに特性があり、患者さんの症状や生活スタイルに合わせて処方されます。

多くの患者さんが症状に悩みながらも医療機関を受診していない

 QOL(生活の質)を大きく低下させるレストレスレッグス症候群ですが、医療機関を受診している患者さんは非常に少ない、といわれています。その原因として、「時期によって症状の出方が異なり、我慢してしまう」「症状をうまく言葉で説明できない」「どの病院、どの診療科にいけばよいのかわからない」などがあげられます。

 レストレスレッグス症候群は、正しく診断され、適切な治療が行われれば、多くの場合、症状が治まります。しかしレストレスレッグス症候群には、似た症状や間違われやすい病気があり、患者さん自身でレストレスレッグス症候群かどうかを判断することは困難です。もし、「レストレスレッグス症候群かもしれない」と思ったら、神経内科、睡眠外来など専門の医師にご相談してはいかがでしょうか。

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