[レストレスレッグス症候群とは] 2014/05/02[金]

いいね!つぶやく はてなブックマーク

 「寝てもスッキリしない」「眠れない」など睡眠障害に悩む人が増えています。
 厚生労働省「e-ヘルスネット」によると、日本人の約5人に1人が「睡眠で休養が取れていない」「何らかの不眠がある」と回答、多くの方が睡眠障害に悩んでいます。
 睡眠障害の原因は多種多様です。悩みやストレス、そこから起こるうつ症状など心の問題が原因となる場合、照明や騒音など環境が原因となる場合、そして別の病気が原因で睡眠障害になることもあります。その1つとして、レストレスレッグス症候群を原因とした睡眠障害があります。そこで今回は、秋田大学医学部教授の清水徹男先生にレストレスレッグス症候群による睡眠障害についてお話をうかがいました。

睡眠障害の原因が別の病気の場合、睡眠導入薬では根本的な解決にならないことも


日本睡眠学会 前理事長
秋田大学医学部 教授
清水徹男先生

 「睡眠障害の治療において最も大事なことは、原因を明らかにしてそれぞれに見合った治療を選択することです。一般的に、睡眠障害の患者さんに対しては、睡眠導入薬が処方されますが、その原因が別の病気にある場合、その病気を治療しないことには、いくら睡眠導入薬を服用しても根本的な解決にはなりません。それどころか、体が薬に慣れてしまうことで睡眠導入薬の効果が弱くなってしまう可能性があります」(清水先生)。

 清水先生は、睡眠障害の原因となる別の病気の代表例の1つとして、レストレスレッグス症候群を挙げました。

 「レストレスレッグス症候群の患者さんの約7割に不眠、特に夜中に目が覚めてしまう中途覚醒があると言われています。また、睡眠中に足首から先が何度もピクッと動く四肢運動性障害も合併していることが多く、熟睡感がないと訴える患者さんも少なくありません。むろん、脚の異常感覚による寝付きの障害もよく見られます」(清水先生)。

 さらに、レストレスレッグス症候群の症状は夕方から夜にかけて強くなるため、「夜間の不眠と昼間の眠気・居眠りが生じやすく、日常生活にも悪影響を及ぼします。例えば、大切な会議中に居眠りしてしまう、頭がボーッとして家事が手につかなくなるなど、QOL(=生活の質)に大きな影響を与えます。さらに夜の不眠が進行すると、夜間だけでなく日中にも下肢などの異常感覚などの症状が現れることもあり、QOLはますます低下してしまうのです」(清水先生)。

「むずむずしていないから」と受診しなかったり、「神経痛」と診断される患者さんも

レストレスレッグス症候群でみられる4つの特徴的な自覚症状

 レストレスレッグス症候群は国内に推定200万人いるといわれています。しかし、病気を知らずに受診されない方や、受診しても正しく診断されずに神経痛と診断されてしまうケースもあり、診断・治療には睡眠障害の専門医や神経内科医の問診が重要です。

 「レストレスレッグス症候群には4つの特徴的な自覚症状があります。特にご自身でわかる症状として、脚を動かすとすぐに不快な感覚が軽減するというものがあります。患者さんの中には、不快な症状が現れると屈伸をしたり、マッサージをするなどしてご自身なりの対処法を行っている方もいます。また、この病気は『むずむず脚』と呼ばれることもあるため、例えば痛みを感じているのに『むずむずしてないから違う』と患者さんがご自身で判断してしまい、受診されないこともあります」(清水先生)。

レストレスレッグス症候群の治療に関するさらに詳しい情報はこちらから

レストレスレッグス症候群の治療は神経内科や睡眠外来などの専門医に

 「レストレスレッグス症候群の患者さんから、どの科を受診すればいいのかわからなかった、という声もよく聞きます。眠りについて気になることがあれば、適切な診断、治療を行える神経内科や睡眠外来などを受診してください。その際、ご自身の症状を正確に伝えることが適切な治療を受ける上で最も重要です」(清水先生)。

 もし睡眠について悩みをお持ちの方は、お近くの神経内科・睡眠外来、あるいは精神科にご相談されてはいかがでしょうか。

清水徹男(しみず・てつお)先生 秋田大学医学部 教授

1977年3月 大阪大学医学部卒業。
1997年より 秋田大学医学部精神科学教授、秋田大学大学院医学研究科医学専攻病態制御医学系精神科学講座教授。
日本睡眠学会認定医、精神保健指定医、精神神経学会評議員・専門医・指導医、老年精神医学会認定医・指導医、臨床精神神経薬理学会評議員・指導医

レストレスレッグス症候群とは 記事一覧

睡眠障害に関する
この記事を読んだ人は
他にこんな記事も読んでいます。
記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。