[脊柱側湾症について] 2008/09/11[木]

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目次
(1) 脊柱側湾症とは何か?
(2) 特発性側湾症について
≫(3) 健康への影響と治療について
(4) 装具の効果と手術療法の適応は
(5) より侵襲の少ない手術方法と術後の日常生活について

健康への影響

どこの部位に側湾が起こっているかで異なります。側湾のタイプとしては、胸椎の右凸の側湾が圧倒的に多く、また、女子に多いということで、胸椎の場合は美容も重要な問題になります。
側方に湾曲しているだけでなく、椎体自体がねじれながら湾曲するので、肋骨も変形してきます。凸側の肋骨が後ろにはりだしてくると、左右の乳房が不同になったり変形したり、背中が出っ張ったりするなど、美容的なストレスになります。
さらに進行していくと、凸側の肋骨の前後がつぶれるように変形して、肺などの臓器を圧迫するようになります。側湾が70度を超えると肺活量が明らかに少なくなりますし、90度を超えると平均余命も正常人に比べると短くなるといわれています。
このように進行した胸椎の側湾症では、肺や心臓の機能に対する影響が重要な問題になります。

腰椎、あるいは、胸椎から腰椎に移行する部分では、内臓への影響はあまりありません。ただし、腰椎は、胸椎のように肋骨がなく、主に筋肉と靭帯で支えられているので、胸椎に比べると負担が大きいと言えます。
湾曲した椎体は椎間板に大きく影響します。側湾が30~40度以下であればそれほど負担はかかりません。ただし、長い目で見ると椎間板への負担はあります。
45度を超えると椎間板への負担が均等でなくなり、椎間板の痛みが起こり、比較的早期に腰痛が起こります。腰椎側湾の場合の問題点は、美容上の問題もありますが、胸椎ほど目立たないので、腰痛が治療の一番の対象となります。

治療について

側湾の程度によって違いがありますが、まず装具療法を行います。この他に、体操療法、電気刺激、メラトニン(ホルモン)療法などがありますが、現実に治療効果があるのは装具療法といえます。
現在使われている装具で最も多いのは、アンダーアーム型といって、脇の下から胴体部分に装着するプラスチック製の装具です。これですと、ゆったりとした服を着たら外見上わからなくなります。残念ながら、このタイプの装具では胸椎の上部(頚椎に近い部分)の湾曲には効果がありません。しかし、上部胸椎はそれほど進行しないことが多いです。

装具の着け方については、(1)24時間の装着、と(2)夜間だけ装着する、という方法で、医師の間でも意見が分かれています。理想は24時間ですが、このような硬い装具を付け続けるのも本人にとっては苦痛です。私は(3)自宅でつける、ということを原則にしています。それでも進行する場合は、装着時間を延ばして24時間にすることもあります。

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