産業医って、普通のお医者さんと何が違うの?

[病院を知ろう!プロジェクト] 2010/06/04[金]
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sangyou_catch 「産業医」という言葉を聞いたことはありますか。「企業のなかで、労働者が健康で快適な環境にて仕事できるよう、専門的立場から指導・助言をする医師」です。これは、「労働安全衛生法」という法律で定められています。昔は、工場などの劣悪環境から従業員を守る現場指導者としての色合いが強かったのですが、最近はメンタルヘルス領域の業務比重が高まっているようです。
 社員数が常時50人以上の会社では「嘱託(非常勤)」の産業医が必須であり、さらに社員数が1000人以上になると「専属(常勤)」産業医が必要です(一部の業種では500人以上でも専属が必要)。専属産業医は、その企業の正規雇用社員となるので、他の社員と同様に就業規則に則って働いています。
 医師なら誰でも産業医になれるわけではありません。労働衛生コンサルタントの試験に合格するか、日本医師会が認定した研修を修了するなどして、資格を取得していなければなりません。そして事業場との間で産業医契約を結んで、労働基準監督署に届けが出ている必要があります。

なぜ産業医は、治療をしないのか

 一方で産業医は、一般的にはあまり治療はしません。これは、保健所で働く医師や製薬会社で働く医師と同様です。医療機関の医師が診断書を書く際には患者さんの状態だけを考えますが、産業医が助言をする際には、職場環境の影響を加味したり、あるいは逆に患者さんが同僚や会社に対して与える影響なども考えます。また、うつ病など、判断時に主観に左右される部分が大きい疾患では、同じ医師でも立場が異なれば結論が異なる可能性があります。
 とはいえ現実は、それほど厳密ではありません。例えばあなたが会社で嘱託産業医に相談をしたとして、同じ医師が院長や診療所長を務める病院やクリニックを受診すれば、その医師は普通のお医者さんと同じく診察、治療をしてくれるでしょう。

「医師」の枠に収まらない仕事も多い

 産業医は、医学の知識だけでは務まりません。「労務紛争に関する法制度」、「IT技術の進展にともなう仕事環境の変化」、「セクシャル/パワー・ハラスメントなど職場社会の問題」、「(海外駐在・出張が多い企業では)国内常識が通用しない健康対策」といった、一般臨床では必要ないテーマも、広く勉強し続ける必要があります。
 そのため医師キャリアの途中で臨床医から専属産業医になったり、また戻ったりをするケースは、多くありません。それぞれ別の研さんを積むのが実態です。ただし嘱託産業医は、地域の開業医がなることが多いようです。
 そして最近では、産業医の活動をより重視して企業活動のなかに積極的に組み入れる会社が現れている一方で、医師の側でも、「産業医」という仕事に新たな魅力を感じている人がいるようです。以降は、専属医、嘱託医に一人ずつインタビューした、仕事現場の模様をお伝えしましょう。

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