全ての人に情報を・・・ネットで、紙で、地域イベントで

日本のがん対策の中核的機関、国立がんセンター。最先端のがん治療を研究開発する一方で、全国の拠点病院への技術支援や人材育成支援を行うなど、わが国のがん対策の総本山ともいえる。この国立がんセンターが最近、患者や生活者向けの情報発信に力を入れ始めている。しかも一方的な情報提供ではなく、患者・生活者にアドバイスを求め、医療者・非医療者間で協力しあいながら様々な取り組みを進めている。
こうした動きに当初から中心的に携わっている「がん対策情報センター」のセンター長補佐兼情報提供・診療支援グループ長の若尾先生(国立がんセンター中央病院の放射線診断部の医長も兼務)に、お話を伺った。
全ての人に情報を・・・ネットで、紙で、地域イベントで
Q:「がん対策情報センター」って何ですか?
A:国立がんセンターには、病院や研究機関など5つの組織があるのですが、6つ目の組織として、平成18年10月にできた機関です。名前の通り、「情報」に特化して、がんに関する普及啓発を行うミッションを担っています。がんセンター内の啓発ではなく、外向きの情報支援をしている点が特徴です。
Q:誰にどんな情報を提供しているんですか?
A:最新の情報や統計情報を収集して、整理し、全国の拠点病院や医療関係者に提供したり、患者さん・ご家族・一般の方に提供しています。がんに関する相談内容を整理して、各地の相談支援センターの支援も行っています。
Q:「一般の人向け情報」もあるのですね。
A:むしろ力を入れていますよ。ホームページを見てもらえばわかりますが、一般向けのコーナーは、医療関係者向けコーナーと同じくらいに充実しています。月間アクセス170万ページビューのうち、75%は一般向けコーナーですし。(がん情報サービス:http://ganjoho.jp)
Q:ホームページは、確かに充実していますね。
A:実は、最初からインターネットを情報発信の中心手段に据えていました。
Q:それは先進的ですね。
A:むしろ「インターネットだけでは、がん患者さんにとって不便」という声で、後から「紙」の冊子づくりも追加しました。高齢の患者さんも多いですから。今では4シリーズ39種類の冊子を出していて、全国のがん診療連携拠点病院の、がん相談支援センターにて無料配布しています。当初は200万部を刷ったのですが、あっという間になくなってしまいました。

Q:それだけ情報ニーズが強い、と。
A:はい、悩みの一つはそこです。需要が大きすぎて、予算が追いつかないのです。ネットでも冊子はダウンロードできるのですが、人気の冊子は月間1000ダウンロードもされます。でも、全ての家庭がネット接続しているわけでもないし、カラープリンタがあるわけでもありません。ところが現代ではこうした配布物には予算がつきにくくなっています。紙での情報流通はどうしてもお金がかかりますから、難しいところです。
Q:映画とタイアップしての啓発活動もやっているとか。
A:これは、新しい取り組みですが、『余命』という松雪泰子さん主演の映画のポスターを、映画会社の費用負担で作成し、そこに「がん診療連携拠点病院」や「乳がんセルフチェック」の案内を掲載しました。全国の病院や保健所などに発送して、その数は10万枚を超えました。
Q:そうした工夫で、「情報流通のお金」を捻出しているのですね。他に、どんな情報活動をしているのですか?
A:いろいろやってますよ。地道に継続的にやっているのが、「地域懇話会」です。これは、がんセンターのスタッフが全国に出向いて、地域の患者さん・ご家族・市民の方と意見交換をするのです。質疑応答の内容を、ホームページに公開していますので、ご覧になってください。国立がんセンター主催でなくとも、こうした勉強会が、全国の拠点病院などで、開催されることが増えてきています。一部のスケジュールをホームページでも紹介しているので、一度、出かけてみて下さい。
1.全ての人に情報を・・・ネットで、紙で、地域イベントで ≪
2.患者・家族・市民の視点を取り入れた患者視点での情報発信
3.心のこもった医療を実現するためには、医療者側が患者の機微に通じることが大切
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