患者・家族・市民の視点を取り入れた患者視点での情報発信
Q:ホームページに『がん対策応援団』とありましたが、これは何ですか?
A:情報センターの取り組みに「もっと患者・家族・市民の視点を盛り込みたい」という想いで、今年度から始めたものです。
Q:患者向け活動は、すでに充分やられている印象ですが。
A:患者さんの方から「私も手伝いたい」との声を頂戴するようになったのが一つ。もう一つは、やはり患者さんからは我々医療者側も勉強になる視点が提示されることが多いからです。
Q:たとえば?
A:まず、言葉の表現方法にまつわる改善アドバイスがあります。たとえば以前、”残された時間を自分らしく生きる”という表記があったのですが、「残された」というのは重過ぎる、との意見を頂戴し、「限られた」に変更しました。「限られた」ならすべての人にも当てはまりますし、実際、自己啓発書籍などでもよく使われる表現です。こうした表現のデリカシー問題は、やはり当事者の立場にならないと、完全には配慮が行き届きません。
Q:そうですね。QLifeも媒体運営者としてあらためて自戒します。
A:それから、がんの告知を受けると頭が真っ白になる、などと言われますが、本当にそうなのです。その時に「ここに注意、あそこに注意」と医療者が指導をしても、その声はご本人には届かないわけで。むしろ、心を落ち着けていくプロセスが大事なときもあります。心理変化は、実際に患者として経験をしないと、理解が難しいものです。
Q:そうした患者視点を、どのように活かしているのですか?
A:『応援団』を結成して、情報センターの取り組みにご意見をもらっています。代表的なプロジェクトは『患者必携』です。これはすべての患者さんに一人一冊づつ使っていただくツールとして作成しているものです。2種類あって、一つは医療情報や生活支援情報を1冊にまとめた冊子、もう一つはチェックリストや診療メモ、日記などを綴じ込むバインダー形式です。がんを知り、自分を見つめて、自身で病気を管理していくための必携手帳となるようにと、作っています。このプロジェクトでは、「アンケートでニーズ調査をしてから項目立て」をしたり「タタキ台をレビューしてもらって軌道修正、表現変更」して、少しでも実際の患者さんが使いやすいものになるように工夫しています。
Q:『応援団』は何人ですか?
A:現在60名です。今回の追加募集で100名規模にします。以降は、2年任期で一年ごとに半数づつ交替制としフレッシュさと継続性を両立させようと考えています。
Q:100名もの意見をとりまとめて反映するのは、大変でしょうね。
A:私達も初めての経験なので、慎重に進めています。たとえば、今は『応援団』のメンバー同士でのやりとりは行っていません。すべて、メンバーと私達との間のクローズド・コミュニケーションです。メンバーからは「他のメンバーが何を言っているのかも知りたい」という要望は強いので、徐々にオープンにしていくつもりです。皆さんの参加モチベーションは、「他の人には私のようなツライ思いはしてもらいたくない」「人の役に立ちたい」という気持ちです。そうしたエネルギーを良いアウトプットに結び付けていきたいと思います。
Q:『応援団』のメンバーは、どうやって選ぶのですか?
A:前回は、定員50名の枠に272名の応募がありました。活動に向けた抱負の作文を提出していただくと共に、なるべく偏りがないように、病気の種類や地域バランスを考慮します。単純な抽選にすると、東京出身の乳がん患者さんが多くなってしまうのです。私自身が『地域懇話会』(前出)に出かけていって痛感するのですが、地域によって医者の数も違えば、「がん」という病気のとらえ方も違うし、患者と医者との関係の良し悪しも違いますからね。それから、患者さんだけでなく、家族の方や、一般の方にも入ってもらえるようにします。
Q:会議のたびに、全国から100名が東京に集まるのは、大変ですね。
A:実は意見交換は、メールやりとりが中心なのです。「企画担当」「体験談を書く担当」などいくつかのグループに分かれて、テーマ別に活動していただいています。ですから、一方的に「言いたい放題で良いです」、というわけではありません。むしろ、情報センターの活動を身の回りの方々に草の根的に広報していただくことも、活動ミッションに含まれています。
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3.心のこもった医療を実現するためには、医療者側が患者の機微に通じることが大切
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