患者向け整備が進む、「診療ガイドライン」情報 後編

[イベント調査隊が行く] 2009/03/03[火]
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後半は、情報を作る・伝える・使う、それぞれの立場から発言

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京都大学大学院
健康情報学教授 中山健夫氏

 後半のシンポジウムのトップバッターは健康情報学の中山氏。
 医療情報を「作る」立場、「使う」立場のそれぞれに整理して、講演をしました。まず前者、すなわち主に医療者に向けては、EBMの大切さや、患者視点を取り入れる重要性を説きました。EBMの言葉は知っていても内容理解に誤解ある人も多いため、中山先生は講演の機会があるごとに正しい解釈の普及に努めているようです。(QLife注:QLifeでの過去記事『EBMとは何?知っておきたい「よくある誤解」「生活者ができること」』でも大きな反響でした。ご覧ください。)
 そして後段では、実際に情報を「使う」時の注意点を述べていました。エビデンス・レベルが高い医療情報は、患者が期待するほどには多くない実態を説明し、医師と一緒に総合的な検討や意思決定する重要性を述べていました。そのプロセスにおいては、経験的な知恵や「他の患者はどうしているの?」といった血の通った情報を、科学的根拠のある質の高い情報と組み合わせて、納得性を高めることを訴えていました。さらには、不確実性などの「医療の現実」を患者側も理解し、医師との共通認識を土台にして、一緒に問題に向き合う関係構築が重要だとの話でした。

 

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日経メディカル編集部
北澤京子氏

 続いて、日経メディカル編集部北澤氏が登壇。
 医療情報を伝えるプロとしての立場でお話がありました。インターネット上の医療情報には古いものや信頼できないものも多いが、「診療ガイドライン」は「患者・市民に役立つ情報」として一定の信頼をおける、マスメディアも基本情報の一つとして利用している、との報告がありました。ただし日経メディカルが「診療ガイドライン」を取り上げた記事数は3、4年前がピークで最近は落ち着いてきているとのこと。これは医療現場にガイドラインが浸透してきたからだろう、と述べました。
 同時に注意点も3つ挙げました。疾患領域によってガイドラインの質にバラツキがあること、内容が全ての患者に常にあてはまるとは限らないこと、さらには患者・市民が知りたい情報のすべてが書かれているわけではないこと、でした。この3点を認識したうえで利用するよう述べていました。
 また今後のガイドライン作成においては、専門家向けと一般向けを最初から2本立てで着手すべきと提案しました。

 

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DIPEx-Japan
理事長 別府宏圀氏

 次は、DIPEx-Japan理事長の別府氏がスピーチ。
 問題提起から始まりました。まだまだ「上流から下流へ」意識が強いのではないか、と。インフォームド・コンセントが重視されたり、医師から患者に対して専門知識を丁寧に説明する努力も見られるようになりましたが、「逆方向の情報」の流れは絶対的に不足しているとの視点です。つまり、患者が何を求め、何を喜び、何に傷ついているかという情報を、もっと医療者側が診療に活かすように訴えました。
 そして、ナラティブ・ベイスド・メディシン(Narrative-Based Medicine:患者の語りに基づく医療)の試みを紹介しました。その具体例として、ディペックス・ジャパンが取り組んでいる「がん患者の語り」の実際の画面が会場に映し出されました。末期がん患者の男性が、ビデオに登場して、告知前後の心境などを自分の言葉で率直にしゃべる様子は、非常にインパクトがありました。
 注:このビデオのインターネットへの公開は、今年の夏と予定されていますが、いまは英国の「がん患者の語り」(日本語吹き替え付き)のサンプルをみることができます。⇒http://www.dipex-j.org

 

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NPO法人ささえあい医療人権センターCOML
理事長 辻本好子氏

 最後に、ささえあい医療人権センターCOML理事長の辻本氏が登場。
 冒頭で「最近の相談内容には、目を見張る変化がある。」との話がありました。以前は「心臓が悪いんです」「飲んでるのは、えーと、丸くて白い錠剤」というレベルの言い方が多かったのが、最近は疾患や薬剤を正式名称で伝えてくるようになった、とのこと。ただ、COMLが合言葉にしている「賢い患者になりましょう」とは、必ずしも知識増を指すのではないようです。「自覚」「意識化」「言語化」「コミュニケーション能力」「ひとりで悩まない」の5項目を高めることを、呼びかけているそうです。
 ネットで入手できる情報が莫大に増え、患者の権利意識やコスト意識が高まった一方で、医師を独り占めしたり無理難題を要求する患者も登場するようになりました。これは“患者が成熟する過渡期”ではないかと説明をしていました。つまり、20年前には何も知らない「よちよち歩きの幼児」だった患者が、社会を知って自立心が芽生えた結果「反抗期」になっていますが、そろそろ「成熟した判断ができる大人」になりましょうよ、とおっしゃっていました。とても素敵な考え方だと思いました!

 

 1.患者向け整備が進む、「診療ガイドライン」情報 前編
 2.患者向け整備が進む、「診療ガイドライン」情報 後編 ≪

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