「5万5千人署名」の無力。「要求だけでは何も変わらない」と学んだ。

目次
✔①「「5万5千人署名」の無力。「要求だけでは何も変わらない」と学んだ。
②普段はスーパーで働く普通の主婦。活動は子供の学校行事の合間。
③「地域医療の現状」「医療の不確実性」を、もっと伝えたい。
![]() 舛添大臣も来訪。大臣は、「以前から「守る会」の活動に注目しており、行った先々で紹介している」とのこと。実際、この訪問の発端は大臣からの一本の激励メールだった。 |
「妊婦のたらい回し」「医師の過労死」など、小児科を中心とした地域医療の崩壊が話題に上ることが増えている。その解決ヒントとして、全国の医療関係者の間で非常に注目されているモデルが兵庫県丹波市にある。舛添大臣をはじめ、多くの国会議員や自治体、医療者がひっきりなしに視察に訪れるその団体は、「県立柏原(かいばら)病院の小児科を守る会」。わずか20人の若いママが、地域医療を変え、小児科を救い、驚くべき結果を出している。
今回は、その代表をつとめる丹生裕子さんに、お話を伺った。
(注:写真はいずれも「守る会」提供)
「5万5千人署名」の無力。「要求だけでは何も変わらない」と学んだ。
Q:「守る会」は、日頃どんなことをしているのですか?
A:「丹波の地域医療を守る」ためにできることは何だろう?と考えて、地域住民にむけて幅広く活動しています。具体的には、「地域医療を守るのは一人ひとりの心がけ」というマグネットステッカーや啓発ビラを配布したり、子育て世代対象の医療勉強会「ママのおしゃべり救急箱(ママ救)」を開催しています。
Q:なぜ、そのような活動をしているのですか?
A:「守る会」の発足は2007年4月、「小児科がなくなるかもしれない。そうなれば産科もなくなり、市内で出産できなくなる。」という危機感からでした。
地域医療を守るためには、行政・医療者・住民がそれぞれの立場で正しい行動をすることが大切です。そのためには「正確な情報」が不可欠です。一人でも多くの人に地域医療の現状を伝えて、共に考え行動するよう呼びかけています。
Q:「正しい行動」には「正しい情報」が必須とのお話ですが、そもそも「正しい行動を!」と掲げる住民運動って、珍しいですよね。
![]() 活動は、あくまで「楽しく」! |
A:そうですね。普通の住民運動は「権利」の主張が多いですが、「守る会」は自らが変わろうと呼びかけています。もう「病院を残して」「医師を連れてきて」と要求して叶う時代じゃない。だから、行政に対して陳情や要望を出す予定はありません。行政に頼るのではなく、自分達が住んでいる地域を自分達で変えよう、と。
今年2月に厚労省の方が面談に来たときも、「厚労省にしてほしいことはありますか?」と聞かれて「何もありません」とお答えしました。
![]() 医療勉強会「ママ救」の様子。絵本を使ったお話に子供達も興味しんしん。 |
Q:感動的に素晴らしい発想です。
A:実は私達も、スタートは署名活動でした。大勢のお母さん方が賛同してくれて、1ヶ月間で5万5千を超える署名が集まりました。でも、それに対する県の返事は、「医師不足は丹波地域に限ったことではない」。その時に「このやり方では何も変わらないんだ」と学びました。
Q:せっかくの署名を活かせなかった時は、さぞがっかりしたでしょうね。
![]() 啓発と資金調達をかねた、フリーマーケット。 |
A:むしろ、怒りがわいてきました。みんな40日間、家事そっちのけで署名集めに東奔西走しましたからね。「県は何もわかってない!」「わかろうともしていない!」、と。
でも今考えると、この瞬間が「守る会」の第2の誕生でした。誰一人として「もう、やめよう」とは言いませんでした。「このままでは終われない、何をしようか。人任せ、行政任せじゃなく、自分達でやれることをやろう。」とアイデアを出し合ったのです。
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✔①「「5万5千人署名」の無力。「要求だけでは何も変わらない」と学んだ。
②普段はスーパーで働く普通の主婦。活動は子供の学校行事の合間。
③「地域医療の現状」「医療の不確実性」を、もっと伝えたい。
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