意外に誤解が多い、薬の飲み方。中学校の授業でも必須となった「くすりの適正使用」とは? 後編

[意外に誤解が多い、薬の飲み方] 2010/06/24[木]
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飲み合わせは、どんな時に気をつけたら良いのですか?

 ほとんどの方が経験のある風邪を例にとりましょう。まず、いわゆる“持病”がある方が、ちょっと風邪気味だからといって「総合感冒薬 (かぜ薬)」を飲む時は要注意です。というのは、“持病”の治療で解熱鎮痛薬、鎮咳薬や去痰薬、鼻炎用薬、アレルギー用薬、鎮静薬などを日頃から服用している場合には、市販の総合感冒薬にも同じ成分又は同種の作用を持つ成分が配合されていることが多いので、これらが重複して、効き目が強すぎたり、副作用が起こりやすくなるおそれがあるからです。

 また、風邪に対する民間療法としてしばしば酒類(アルコール)がすすめられることがありますが、アルコールが薬の成分の吸収や代謝に影響を与え、肝機能障害等の副作用が起こりやすくなるおそれがあるため、薬の服用期間中は、酒類の摂取を控える必要があります。

 あるいは高血圧症も患者数が多い病気ですが、ごく一般的な降圧剤(血圧降下剤)のなかにもグレープフルーツジュースなどと一緒に飲むと薬が効きすぎてしまう場合があります。このように、飲みあわせの問題は、けして特殊な薬に限った話ではありませんので、医師や薬剤師には日頃服用している薬は正直に申告していただきたいですし、何か疑問があったら遠慮なく確認して欲しいですね。

健康なあなたにも関係がある!くすりは正しく飲んでこそ「くすり」

 治療の約8割は薬物療法と言われています。薬を正しく使うことによって、掛かっている病気から解放されたり、あるいは完治せずとも病気をコントロールして健康な生活を送ることができます。一方、健康な人にとっても「くすりの適正使用」は重要なテーマです。

 なぜなら日本は国民皆保険で、誰もが安価に医療を受けられます。3割は自己負担で残りの7割は保険で支払われます。この保険の原資は、健康な人達も含め国民みんなのお金でまかなっています。医療費が無駄なく活用されているのであれば良いのですが、最近のアンケートによると、5~7割の人が医師が処方した薬を飲み残しているという結果が出ています。飲み残している人のなかには、前述したように、本来必要のなかった治療を追加で受けなければいけなくなった人もいるでしょう。こうした無駄なお金は全体でどれぐらいになるのでしょうか。おそらく年間2200億円(政府によって目標設定されている、毎年削減すべき社会保障費)の比ではないと思われます。この費用を、本当に医療を必要としている人々に回すことができれば、より多くの国民の健康な生活を営むことができるのではないでしょうか。

 これは「もう一つの薬物問題」と言えるかもしれません。医薬品の適正使用は、個人のQOLに寄与するばかりでなく、医療の適正化にも貢献するのではないかと思っています。この課題の解決は、医師、薬剤師、看護師等の医療専門家、医薬関係者、行政関係者、医療政策決定者などのすべての利害関係者の合意、そして薬を使う個人個人の努力によってはじめて実現できることでしょう。国民運動として期待したいと思います。

知ってる?常識?!おくすりクイズ(ダイジェスト版:2分)

中学生が薬について学んでいるって、本当ですか?

くすり教育ホームページへ
※クリックすると「くすり教育」ホームページへ飛びます。

 本当です。全ての中学校で一斉に薬の教育が行われるのは平成24年度からですが、21年度から各学校の判断で徐々に始まっています。これは義務教育として新しい学習指導要領の中に組み込まれ、保健体育の時間で学習することになります。

 義務教育となった背景には、平成12年に世界保健機構(WHO)が示した「セルフメディケーション」(自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること)という概念があります。このセルフメディケーションの実現に向けて、文部科学省は、すべての子どもたちが薬の作用や副作用を理解して正しく使える必要があると考え、結果的に義務教育に組み込みましたし、厚生労働省でも昨年の薬事法改正で薬の販売制度を変えるなど、社会的にも大きな変化が生まれました。私達「くすりの適正使用協議会」も、全国の学校薬剤師や養護教諭からの要望で、数十回もの研修会を行ない、きちんとくすり教育がされるようサポートをしています。ホームページから、教育者が様々な教本や教材をダウンロードできるようにしています。

記事一覧:意外に誤解が多い、薬の飲み方

  1. 意外に誤解が多い、薬の飲み方。中学校の授業でも必須となった「くすりの適正使用」とは? 前編
  2. 意外に誤解が多い、薬の飲み方。中学校の授業でも必須となった「くすりの適正使用」とは? 後編 «

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